第18章 生死の境目

K島での仕事は消波ブロックの設置や、ケーソン設置の基礎作り、ケーソン設置後のテトラポッドの設置だった。


周りが海で囲まれる島では波が荒く漁船や、観光船など安定して港に入れるよう消波ブロックを沖合(陸地から約200メートル)

に設置したり、またケーソンとはいわゆる岸壁、防波堤の元になる巨大なブロックでサイズは色々ある。


釣りが好きな人ならわかると思うが、岸壁や防波堤は大きなコンクリートのブロック状の箱で、設置する場所まで船で引っ張ってきて海水を入れて沈める。

防波堤で釣りをする時良く足元を見てほしい。繋ぎ目が少しズレていたりする。


皆さんは不思議に思わないだろうか?

巨大な鉄の船が水に浮く事、巨大なコンクリート製のブロックが水に浮く事も私には理解できない。

いくらアルキメデスの原理とはいえ…


海水で沈めたケーソンに砂利と水中コンクリートを打設後、波で動かないようテトラポッドを水中約20メートルから積み上げるのだ。

それでも少しズレてしまう。 波のパワー自然の力は計り知れない。


ケーソンの基礎づくりは大量の石を積んだ船が海に投入した後、ダイバーが潜って水平にならしていく仕事だ。

イメージは、ピラミッド建設に近いと思う。

もしもピラミッドが古代人の手作りであるとするならばの話しである。


実は私自身ピラミッド建設には地球外生命体も携わっていると思う。

もしくは、波動や振動そして共鳴共振…


話しが脱線してしまうのでこの話しは別の機会があれば書きたいと思う。


そんな過酷な労働であるにもかかわらず、休憩無しなのだ。

心身共に疲れていた。私は持病で喘息があるが、季節の変わり目などに発作が出るのだがストレスや疲労でも出るようだ。


ある日いつものように働き宿に戻ると少し息がしずらい。


私『あー、軽い喘息発作が出てしまった。発作止めのお薬で何とかいけるだろう…』


と、その日は早めに就寝した。

翌朝、前の晩よりも発作が酷くなっていた。


私『や、やばい。早く病院にい、行かなけ、け、けれ ば…』


その場に崩れ落ち意識を失った。

強烈な呼吸困難だった…


私『あれ?何か楽になったぞ。つーか、此処は一体どこなんだ? 真っ暗で何も見えない。』


すると、遠くの方に光が見えた!光に向かって歩き出す。

するとザワザワと人の声がし始めた。


私『これは…い、一体なんなんだ?』


と思った瞬間に眩しい光と共に苦しさが戻ってきた。


今思えば軽い臨死体験だったかもしれない。

臨死体験に軽いも重いものあるのかわからないが…


喉に管を入れられて酸素を送り込んでいるのがわかった。

病院の処置室に私はいた。


医師『良かった。意識が戻ったぞ!』


と医師の声が聞こえた。


医師『大丈夫ですか?』


喉に管を入れられて話せない私はコクリと頷いた。

島ではこれ以上処置出来ないとの事で都内の病院にヘリコプターで搬送される事になった。

生まれて初めてヘリコプターに乗れる私はかなりワクワクしていた。

しかも緊急医療用のヘリである!

こんな状況で楽しめる私は少し、頭がおかしいのかも知れない。


そしてヘリにベッド事乗り込み離陸した。

窓からK島の綺麗な海が一望出来る。現場も見えた!


私『何て美しい景色なんだ!』


自然の美しさ、地球と言う星の素晴らしさを改めて実感し感動していた。

このまま死んでも悔いは無いとさえ思っていた。が、人間そう簡単には死なないらしい。


そして東京上空。東京タワーが見えて、そして六本木が見えてきた!

かなりテンションが上がった!

そして都会のど真ん中に聳え立つ病院に着陸した。


1週間ほど入院し、問題なしと言われ退院した。


会社には迷惑かけた事を謝罪し、退院したが2〜3日ゆっくりする事を伝えた。


正直もう戻りたくなかった。

が、人数も足りなく工期も迫っている事から、もう少し頑張る事にした。


再びK島へ向かうフェリーに乗船した…

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