第14話 【Side ゴート】大したものだな
『ま、偉そうなこと言って悪かったな。実は今よるに事情があってさ。和樹とファルルの話し合いに参加させてもらえなくって悩んでるっていうのを聞いたばっかりだから、言っちまったってのもある』
「む、そうなのか?」
「あー! ひぐれ、何でバラすのぉ?!」
『うわ! ちょっと待って待って?!』
「えい!」
『ぎゃー、捕まったー』
そういえば……お守りする、と私達が口ぐちに申した時にミリ姫様は寂しそうなお顔をされていた事がある。あれは私達に対する気遣いと、皆と一緒に国を守りたいという想いから出た表情であったのか?
話す機会はあったはず。そのお気持ちを少しでも理解していれば、ミリ姫様が私達に何も告げずに僅かな手勢を引き連れ、劣勢の陣に救援に向かう事などなかったのではないのか。
「ゴートさん、さっきはごめんなさい。守ってくれるって言ってくれたのに……よる、生意気言いました」
「いえ、よる姫様が謝る必要はございません。そういった事情があるのなら躊躇われるのも当然でしょうし、私がよる姫様とミリ姫様を勝手に重ね合わせて余計な事を言ってしまいました」
何が、お優しいミリ姫様の事だから居ても立っても居られず救援に向かわれたのだろう、だ! 恥を知れ!
とんだ戯け者だ。ひぐらしとよる姫様の話を聞かなければ、何故ミリ姫様があのような行動されたのか考えもしなかった。
『魔族の姫様とよるってそんなに似てんのか?』
「……雰囲気がよく似ていらっしゃる。慈愛……優しさに満ち溢れた表情や立ち振る舞いと、それでいて皆を照らす太陽のような天真爛漫さがな。勇者と女神の御子であればさもありなん。正に姫の名に相応しい」
「きゃあ! きゃあ! 優しいとかお姫様とか言われるの恥ずかしい! けど嬉しい! ゴートさん、カツオブシ食べますか!」
「カツオブシ?」
『よる、落ち着いて! カツオブシは僕にだってば!』
よる姫様はひぐらしに随分と心を開き懐いていらっしゃる、見事なものだ。勇者と女神様を陰に陽に助け、様々な獣人達を味方につけて率いたその実力と手腕、求心力はあの頃から際立っていた。
いち早く魔人達を打ち倒してミリ姫様がお目覚めになった暁には……ひぐらしを手本とし、お気持ちに少しでも近づけるよう努力せねば。
「ひぐらし、大したものだな」
『ゴートが僕を褒めた?! あと、ひぐれだってば!』
「茶化すな。いろいろと聞きたい事ができた。ひぐれは納得のいくまで逃さんからな」
「ひぐれ、私も逃さんからねっ!」
『二人して訳わかんねえ!』
だが、それも先の事。今はよる姫様、そして既に魔人に目をつけられた女神のしもべというこの小狼という、魔人の恰好の標的がいる。見つかる前に森を抜け、態勢を整えなければ。
「じきにエルフの森を抜ける。ひぐらし、何か違和感を感じたか?」
『今のところは何にもないな』
「警戒は怠るな、隠形の魔法を使う魔人もいるからな」
『マジか! まあ五感を強化してるから任せてくれ。そういや何者なんだよ魔人って。僕らがいた頃は見た事も聞いた事もない種族だぜ?』
「
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