第13話 きっとそうだったんだろ?
「ひぐらし、お前……勇者や女神様と安穏に暮らすがゆえに腑抜けたか!
『待て、まず森を抜けるのが先だ。移動しながら話す』
「!……わかった」
『よるにフォルカ、この森は危険だから急いで出よう。ケガは治したから走れるよな?』
「う、うんっ、大丈夫!」
がうっ!
『よし、じゃあ行こう。ゴート、僕らはそれぞれが迷走しながら森を進んできた。森の外に抜けられる最短を教えてくれ』
「ちょっと待て……こっちだ。だが気をつけろ。魔人は神出鬼没、警戒しながら進め」
『ああ、当然だ』
「あ、あの……ゴートさん」
「よる姫様、今は急いで森を出ましょう。話はそれからで」
「はい……」
ゴートさん、怒ってる。やっぱりよるが素直におんぶして貰えばよかった。よるを守ってくれるってせっかく言ってくれたのに。
ひぐれとのお話が終わったらごめんなさいしなきゃ。
●
フォルカ君と一緒に、森の中をゴートさんとひぐれについていく。二人で魔法の力で暗い森を照らしてるから怖くない、スゴい。
『ゴート、さっきの話の続きだ』
「む」
『魔族の四天王。和樹や僕らもお前の強さにてこずったもんだ』
「世辞などいらん」
『だが、生まれた頃からそんなに強かったのか、と言えば違うだろって話だ』
「たわけた事を! そんな奴がどこにいる!」
あああ、ゴートさん怒ってる……でもひぐれの声はマジメだ。お父さんが一生懸命話してる時と同じ。ちゃんと聞かないと。
「お前は私を愚弄しているのか!」
『僕もそうだった』
「……何?」
『和樹とファルルが手を取りあって、仲間が増えて……いろいろあったけど魔族と和解して平和になるまで、この世界は争いが絶えなかった』
「……」
『親兄弟、友達、仲間が傷つく中で……子供だからって闘わせてもらえなかった。悔しかった。悲しかった。僕は守られてるだけじゃないか、みんなと一緒に闘って、傷ついて、誰かを守りたかった、ってさ』
「……」
ひぐれ、よるが言いたいことを言ってる気がする。よるだってみんなの力になりたい。大切な人の為に頑張りたい。
『お前の大事な姫様もきっとそうだったんじゃないのか? いや、魔族の姫様だからこそみんなの為に、みんなと一緒に闘いたかった。子供だからってきっと守られてるだけじゃ嫌だったんだろうよ。な、よるもそうだろ?』
「うん!」
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