第13話 きっとそうだったんだろ?

、お前……勇者や女神様と安穏に暮らすがゆえに腑抜けたか! 一時いっときの和平で弱肉強食のこの世界の全てが覆るとでも思うたか! 我ら力を持つ者が弱者を守って何が悪い!」

『待て、まず森を抜けるのが先だ。移動しながら話す』

「!……わかった」

『よるにフォルカ、この森は危険だから急いで出よう。ケガは治したから走れるよな?』

「う、うんっ、大丈夫!」


 がうっ!


『よし、じゃあ行こう。ゴート、僕らはそれぞれが迷走しながら森を進んできた。森の外に抜けられる最短を教えてくれ』

「ちょっと待て……こっちだ。だが気をつけろ。魔人は神出鬼没、警戒しながら進め」

『ああ、当然だ』

「あ、あの……ゴートさん」

「よる姫様、今は急いで森を出ましょう。話はそれからで」

「はい……」


 ゴートさん、怒ってる。やっぱりよるが素直におんぶして貰えばよかった。よるを守ってくれるってせっかく言ってくれたのに。


 ひぐれとのお話が終わったらごめんなさいしなきゃ。



 フォルカ君と一緒に、森の中をゴートさんとひぐれについていく。二人で魔法の力で暗い森を照らしてるから怖くない、スゴい。


『ゴート、さっきの話の続きだ』

「む」

『魔族の四天王。和樹や僕らもお前の強さにてこずったもんだ』

「世辞などいらん」

『だが、生まれた頃からそんなに強かったのか、と言えば違うだろって話だ』

事を! そんな奴がどこにいる!」


 あああ、ゴートさん怒ってる……でもひぐれの声はマジメだ。お父さんが一生懸命話してる時と同じ。ちゃんと聞かないと。


「お前は私を愚弄しているのか!」

『僕もそうだった』

「……何?」

『和樹とファルルが手を取りあって、仲間が増えて……いろいろあったけど魔族と和解して平和になるまで、この世界は争いが絶えなかった』

「……」

『親兄弟、友達、仲間が傷つく中で……子供だからって闘わせてもらえなかった。悔しかった。悲しかった。僕は守られてるだけじゃないか、みんなと一緒に闘って、傷ついて、誰かを守りたかった、ってさ』

「……」


 ひぐれ、よるが言いたいことを言ってる気がする。よるだってみんなの力になりたい。大切な人の為に頑張りたい。


『お前の大事な姫様もきっとそうだったんじゃないのか? いや、魔族の姫様だからこそみんなの為に、みんなと一緒に闘いたかった。子供だからってきっと守られてるだけじゃ嫌だったんだろうよ。な、よるもそうだろ?』

「うん!」

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