第3話 ここはどこなんだろ? 

 落ちてる!

 落ちるぅ!


 落ちるアトラクションみたいで、やだあ!

 苦手ぇ!


「きゃああああああああ! ……あ、あれ?」


 ふわふわ、ゆっくりになった。

 どゆこと?


 地面にゆっくりゆっくり近づいてる。よるの背より少し高いくらいかな? 階段抜かしみたいに、ぴょん!って飛べば降りれそうだけど、それよりも。


 夜空にぽっかりと浮かぶ、まん丸お月様……いつもよりおっきく見える。森の中にまで、お月様の光が届いてキレイなの。


「すごーい! お洋服も手も、髪の毛も輝いてる! よる、キラキラの中でふわふわしてる! おとぎ話の中みたい……」


 あ。


 背中とお尻が、地面に着いた。

 よっこいせ!


 あー、びっくりした。

 最初は怖かったけど、最後はお空にプカプカ浮いてるみたいだった。

 

 夢の中なのかな。

 よる、いつ寝たんだろ。


 お外に出たのが夢で、お布団で寝てるのかな。もしかしてお父さんとお母さんがケンカしてるところから、夢だったりして。


 きっとそうだよ!

 やなことはぜーんぶ夢!


 なーんだ。

 よかったあ。


 朝起きたらお父さんとお母さんが、『よる、おはよ!」ってニコニコしながら、頭なでてくれるんだ。それでいつもみたいによるの前でイチャイチャするんだよ。


 まったくもう。

 でも、仲良しだもんね!


 しょーがないので、よるはイチャラブを許可します。

 あんなに仲良しなのに、ケンカしたらダメなんだ、よ?


「ぎゃー! 何? 何?! 何か落ちてきたあ!」


 いったーい!

 ……リュックぅ?!


 ううう、頭に飛んで来たよ……。

 びっくりがいっぱい。


 でもでも、食べ物と飲み物とスマホに懐中電灯は、冒険には欠かせないもんね。

 

 ここはどこなんだろ。学校のパソコンで見た、林間学校のキャンプ場に似てる気がするけど……お月さまの光だけだからよくわかんないや。


 ダンジョンとかあったらウケる。

『始めの村』とかも!


 よるは魔法使い?

 まさか勇者?!


 お、お姫様。

 ……一回でいいからやってみたいにゃあ。無理か。


 仲間、探せば来てくれるかな。

 夢だから何でもありだもんね!

 いえっす!


 夢の中なら暗くっても一人ぼっちでも怖く……怖く……?


 あれ?

 何か忘れてるような……。


「……ひぐれ! ひぐれ、どこー? よるはここだよー!」


 …………いない。

 ひぐれは違う場所にいるのかな?


 もう少しモフモフにゃあにゃあしたかったにゃあ。

 でも、夢だから仕方ないか。


 女の人の声も、もう聞こえない。もしまた聞こえたら、お手伝いできることあるかな。悲しそうだったもん。


 スーパーよるが、解決して差し上げましょうっ!

 むん。

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