第16話 僕が保証する、絶対そうさ
やっと暗い森から出れるって言ってた! フォルカ君は怪我が治って元気いっぱいで走ってるしゴートさんも足が速いからきっとすぐだね! ひぐれはさっきから抱っこしてる。ふさふさの手触りが気持ちいいね。
みんな、チラチラッて私のことを見る。心配なのかなあ? よる、もっともっと走れるから大丈夫だよ! 全力ダッシュの短距離走も、景色を見ながら走るマラソンも大好きなのです。
でもでもひぐれとゴートさん、難しい顔をしてる。
よる、聞いててもいいのかなあ。お父さんとお母さんのケンカの時みたいに……目が合ったらお話やめちゃったりするのかな。またお口チャックしちゃうの?
寂しいな。
しょんぼり。
『なれの果て、ねえ。僕らの活躍を……そう、僕の活躍を! 妬むヤツラは少なくなかったのは覚えてるけどな!」
「おい」
『睨むなよ、冗談だ……ん、ゴート待った。よる? 何でそんな顔をしてるの? アヒルみたいな唇になっちゃってるけど』
「……」
ひぐれと目が合っちゃった、何か恥ずかしい。
『はっは~ん、わかった。あのさ、よるも僕らの話の中でわからなくって不思議に思ったり言いたいことがある時は教えてほしい』
「え?」
聞いてていいの?
『ここは、うーんと……夢の中だろ? もちろんどんな敵が来ても、何が起きても僕らはよるとフォルカを守るさ。そうだろゴート』
「無論だ。決して魔人の思い通りになどさせん」
そんな大事な時なのに……よるが思ったこと、言っていいの? 聞いてくれるの?
『でもさ、夢の中なら何が起こるかわからないだろ?』
「うん」
『だからこそ大人とか子供とか関係ない、チームワークだ。帰る……目的の場所に行く為に、みんなで力を合わせて助け合うんだ。だからよるの話を聞くし、お願いもするかもしれない』
「うんっ!」
……何でだろ。
『まあ走りながらだからそんなにたくさんの話はできないけど……ほら、よる? 走りながらよそ見……しない。昔から仲良しの僕らにとっては当たり前のことだろ?』
何でひぐれはこんなに私のこと、わかっちゃうんだろ。
「う。……ぐすっ」
『泣かない泣かない』
「だって……」
『それにさ、和樹と……
そうなのかな。
「……本当に?」
『僕は昔から二人の事を知っている。僕らは長い時を一緒に笑って泣いて、時々ケンカもしたけど……助け合って生きてきた。同じ未来を見ながら、ずっと頑張ってきた。仲間だ。アイツらの為ならこの命を賭けてもいいくらいに大切な、そして信じられる仲間なんだ』
「うん……」
ひぐれのお話でまたお鼻がツンとする。ひぐれの言葉を聞いて私もそう思う。一人でしょんぼりしてたけど、私も……大好きなお父さんとお母さんをいつだって信じてるもん。信じられるもん。
『だからさ、今は内緒話だけどきっと近いうちに全部話してくれるんじゃないかな。僕が保証する、絶対そうさ』
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