エピローグ

 とある山奥にて。


「お嬢ちゃん。ここらじゃ見ない顔だが、迷子かね?」

 山菜を取りに来ていた老人は、紅のフードを被った子供を雑木林の中で見つけ、

「失敬な、迷子ではないわ! ……ただちょっと、連れとはぐれてしまっただけじゃ」

 緑玉色と瑠璃色の瞳を持つ十歳前後の少女は、小恥ずかしそうに顔を俯ける。

「それを“迷子”というのじゃが……」

 対応に困った老人は、麓までの道のりを伝えようとするが、

「ギ……ギギ……」

 突如現れた機人一型の姿に。

「な、な、なんじゃあれはーーーー!? 鋼鉄の熊かっ!?」

「じーちゃん、下がっておれ」

 老人の前に出た黒髪の少女は、大地を蹴り一型へと突撃。


 衝撃波が大気を揺るがし、木霊となりて山脈に響き渡る中……。


「は、はわわわわわ……」

 一瞬にして機人を倒した少女の姿に、老人は絶句し、

「ここにいたの? ずいぶんと探したわよ」

かかさま!」

「はわーーーーッ!?」

 白と黒の翼を折りたたみ、空から降りてきた瑠璃色の瞳の女性に。

「……そういう一人で突き進むところも、親譲りなのよね」

 目の前に現れた褐色の妖精の姿に、さらに腰を抜かす。


 そんな空想じみた一行を見送りながら。


「じゃあの、じーちゃん!」

「あ、ああ……達者での……」

 やがては七魔皇を倒し、この世界に平和を取り戻した伝説の竜。


 人はその竜の名を……“アイ”と呼んだ。



◇ アイズオブドラグーン ◇

                                    完

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アイズオブドラグーン コードアリス @Ghost4

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