第5章

1話 イジメ疑惑

 A市の中学校の体育倉庫の物置きで首を吊って自殺した生徒がニュースで話題になっていた。彼女の名前は加奈。これは小鳥遊加奈の死の真相をあるジャーナリストが解き明かすべく学校関係者数人に取材していく物語である。



--ちなみに取材内容はモザイク付でネット公開されています--




_______________________


〜担任教師、今野への取材〜


「自殺の原因に心当たりがあるんですか?」



「はい。というかむしろその人のせいで加奈ちゃんは死んだと思っています」



「それは、、誰ですか?」



「うちのクラスの清水キヨという生徒です。キヨは加奈ちゃんのことをイジメていました」



「イジメですか。具体的にどんな?」



「死ねとかブスとかはしょっちゅう言われてたと思います。加奈ちゃんの教科書が紛失したことも。身体に痣があったのも、もしかしたらキヨにやられたのかもな。キヨも加奈ちゃんもクラスではいわゆる1軍グループに所属していたんですけどキヨはその中でもリーダー格だったんです。一方で加奈ちゃんは1軍の中では少し地味というか、、。言っちゃ悪いですけど周りよりも劣っていたんです。それをグループで冷やかしの目で見たりもしていました。後、パシられてたと思います。」



「パシリですか、、」



「はい。コンビニで数人分のパン等を買いに行く姿が度々見受けられて。見かける度に私はパシられてるんじゃないの?って聞いたんですけどはぐらかされてしまいました。絶対そのイジメのせいで自殺しちゃったんだと思います。ああ、もっと深く問いただすべきだった。私も悪いのかもしれませんね」







ジャーナリストはイジメの真相を探るべく、他の生徒にも聞いてみることにした。するとキヨと同じ1軍グループの生徒(宮本彩)に取材することに成功した。






_______________________


〜1軍グループの生徒、宮本彩への取材〜


「実際同じグループの宮本さんから見てイジメはありましたか?」



「はい。ありました。本当に酷かったです。私はキヨが怖くて逆らうことができませんでした」



「ちなみにどんなイジメがあったんですか?」



「うーん。暴言とかは毎日浴びせてましたね。後、先生のいないところで金属バットで殴ったりゴミを無理矢理口に入れたり。本当に可愛そうでした。キヨがいない時は私たちは加奈を心配してたんですけどキヨがいる時は見て見ぬふりしかできませんでした」



「それが原因で自殺したと思いますか?」 



「正直それは分からないです。でもそれが原因でもおかしくはないと思います。」



「ありがとうございました!」







取材しているうちにジャーナリストはイライラが収まらなかった。ある程度の正義感は持っていたからイジメの内容が見過ごせなかったのだ。そんな時、イジメの主犯格、清水キヨが現れ、取材することに成功した。









_______________________


〜イジメの主犯、清水キヨへの取材〜


「え、私、イジメなんてしてません!」



「は?担任の先生も友達の彩ちゃんもあなたがイジメをしていたって言っているんですよ?」



「今野先生は気にしすぎな性格なんです!私は加奈をいじってたんです。死ねとかブスとかも誤解です。加奈が笑ってない時にそんなブスな顔すんなって〜って感じでいじってたのをたまたま先生に聞かれて注意をされただけなんです。パシリだってしてません。加奈もいじられることは嫌ではないと言ってました」



「そりゃーいじめられてる本人は嫌だなんて言えないでしょ!あのね、やってる方はいじってるつもりでもやられてる方が苦痛を感じてたらいじめなの!」



「だから加奈は苦痛を感じてないって言ってました!」



「はぁ。呆れて言葉も出てこないよ。」




 ジャーナリストはキヨに話を聞くことを諦めた。それよりもキヨには世間からバッシングされて自分の罪の重さを自覚してもらった方が早いと思い、インタビューした際の動画をモザイク付でネットにアップした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る