ミステリー短編集

3話 全ての謎 第3章完

➇殺人事件

　事故物件で起きてしまった殺人事件。今までの心霊現象とは比にならないくらいネットが盛り上がった。当然、取材陣も押しかけ、オーナーの剣崎さんに質問攻めにする。剣崎さんは怒鳴り返していたがその様子も野次馬によって晒されてネット話題になってしまった。剣崎さんのブログも大荒れになった。

　探偵の並木奏はネットで事故物件で起きてしまった殺人事件のことを深く調べていた。そんな奏に助手の丸山桃子が話しかける。

「事故物件の依頼してきた人、殺されちゃったみたいですね」

「そうだね。事件の概要は大方分かってたのに」

「え、わかってたんですか？」

「うん。先にやられちゃったね。犯人に」

「犯人って、、。幽霊の仕業じゃなかったんですね」

「当たり前でしょ。幽霊信じてるの？」

桃子は馬鹿にされてムッとした表情をする。

「犯人、、誰なんですか？」

「え、一人しかいないじゃん。この状況で得する人」

「え？」

奏はそう言って今まで事故物件に住んでた人のリストをもう一度見せて話した。

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町田隆(24)　 家賃 5200円　2022年2月〜5月

村上栞(27)　　　家賃　5000円　2022年6月〜7月

三好夫妻(30＆31)　家賃　4700円　2022年7月〜8月

中元明(26)　　　家賃　4500円　 2022年8月〜2023年1月

南沢早苗(44)　　家賃　4800円　2023年1月〜4月

関口剛(60)　　　家賃　5200円　2023年5月〜8月

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「まず、俺が調査した結果、一家心中が起きてから初めて住んだ町田さんは怪奇現象の被害にあっていないらしい」

「はい、、」

「ただネットが一家心中の件を騒いだため、格安の家賃にしないと売れなくなってしまった。」

「オーナーがかわいそうですよね」

「そうだね。それでその時、オーナーはブログを始めてる」

「でもそのブログのせいでさらに炎上して事故物件がネットで盛り上がってましたよね」

「うん。全て裏目に出ちゃってるね」

「いくらマスコミから取材料貰ってたとしても自社のアパート売れなくなっちゃったらオーナーかわいそう、、」

「そうだね。でも全てにおいて損をしてるわけではないみたいなんだ」

「どういうことですか？」

「南沢さん以降、家賃が少しずつ上がってるの分かる？」

「た、確かに上がってますね」

「さらに今回の拓海さんのようにYouTubeのネタのためにわざわざ事故物件住む人も現れてきた。家賃も少しずつ上がってるしYouTubeのおかげで取材も増えた。さらにオーナーのブログの閲覧数も増えている。この件で得してるのは誰？」

「まさか、、」

「怪奇現象なんてあり得ない。となると拓海さんの部屋の隣に出入りできて驚かす事のできる人物なんて一人しかいないと思わない？」

「も、もしそうだったとしても殺しますかね？」

「仮にあの人が犯人なら拓海さんの部屋に忍び込んで呪いの配信することも可能だよね。殺した理由は最近、拓海さんのYouTubeの再生数が落ちてきて話題にならなくなったからだとしたら？」

「また事故物件を盛り上げるため、、」

桃子は背筋が凍った。

＿＿＿＿＿ピンポーン

その時、並木探偵事務所のチャイムが鳴った。

「おっと。誰か来たようだ」

　　　　　　　　　　　　　　〜完〜