地底湖の謎

あらすじ

　青年神主・鍵野井は、お祓いの出張サービスをしているが、夏のある日、こんな依頼を受けた。
屋敷の中庭にある井戸から人の声や笑い声がする。気味が悪いから、お祓いをしてくれと。　探偵好きの鍵野井にとっては、またとない美味しい依頼である。
そこはカルスト台地の外れで、兜川という苗字の屋敷だった。中庭に井戸がある。水はない。それは一年半前の大きな地震が影響したらしい。徐々に井戸の水が減って、完全に涸れた最近になって、人の声がするようになったという。
因みに兜川邸の隣が、ちょっと有名な瞑想道場（瞑想スペースが鍾乳洞の中にある）であった。カルスト台地だけに、鍾乳洞はいたるところにある。
邸の北側の山にある鍾乳洞は、七年前、大学の探検部が入り、その最深部の地底湖において学生が一人行方不明となっ…続きを読む