第8話


 宿舎に戻った鍵野井は、あの大麻草が頭から離れなかった。

 大麻は比較的栽培の易しい植物で、光と水と肥料さえあれば、素人でも簡単に育つ。

 鍾乳洞の中は一年を通して温度が一定だから、冬でも枯れることはない。

 マリファナはよくヒッピーが使用していたが、瞑想道場も何となく世捨て人の集まりに近い。だとすれば、彼らは大麻を使用するのが目的でここに来ているのかもしれない。だいたい一週間以上もこんなところにいるのは、まともな人間のすることではない。仕事なら分かるが。ならば彼らは大麻栽培に従事しているのか。あの狂ったような笑い声は、精神のタガが外れた証であろう。

 いずれにしても、この瞑想道場は以前から胡散臭いイメージがあったのだが、これでそのイメージは確定したと言える。そして鍵野井は、ここにはまだ他にも違法なものがあると推測する。

 地底湖がさらに興味深くなった。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る