第2話 新米冒険者② 仲裁
揉めている2人の男は今にも一触即発とい雰囲気だった。
剣の男は剣に手を添えて目が血走っている。
天下の往来で行われる騒ぎに市民たち集まり、ざわつく。
兵士を呼べ、強い冒険者を連れてこいなど市民はみな他力本願で好きに言っている。
そんな騒ぎに1人の小柄な少年が仲裁に現れた。
その少年は兵士ではなく冒険者だ。
「そこまでだ!」
仲裁に入ったのはケンだ。
2人の男は間に立ち塞がる小柄な少年の登場に理由もわからず唖然としている。
自分たちを止めに来たのが兵士でもなければ冒険者でもない。
小柄な少年だったからだ。
「剣のオッサン。弓のオジサン困ってるだろ、辞めてやれよ」
剣の男はこんな小柄な少年が自分に抗議をしてくるとは思いも寄らない。
剣の男はなにかの冗談だと思い、笑いがこみ上げてきた。
「ハハハ!何だこのチビガキは?向こう行ってろ死ぬぞ」
ケンはチビガキと罵られ笑われたことに怒りを感じ、この場で即座に叩き伏せようという考えが頭によぎった。
しかし、本来の目的を思い出して己を制止させた。
本来の目的は弓の男に駆除依頼に同行させてもらうことだ。
交渉前に揉め事を解決してしまっては、元も子もない。
深呼吸をして弓の男に交渉を持ちかける。
「弓のオジサン。この剣のオッサンから助けてあげるからさ、オレを駆除依頼に連れて行ってくれないか?」
弓の男はケンの交渉を聞いて少し困惑している。
助けてあげると言われても弓の男から見れば小柄な少年。
その言葉は冗談にも聞こえる。
「ありがたいけど助けるって、どうするつもりだい?」
「このオッサンをぶっ倒してやるよ」
「そ、それは危険すぎる。相手は北の蛮族を相手にしてきた強者だぞ」
「まぁ、大丈夫だって」
「大丈夫って・・そうには見えないけど」
軽口をたたくケンを弓の男はいまいち信用できないようだ。
助けに応じていいのか分からず顔をしかめている。
「とりあえずオレに任せてよ。あとは約束通り頼むぜ」
ほとほと困っている弓の男の返事を待たずに勝手に話を進めるケン。
「お!おい」
弓の男はケンのが先走ったのを止めようと声をかけたが、ケンはすでに剣の男の方へと向きを変えている。
剣の男を睨みつけるケン。
ケンと剣の男の間にピリピリと張り詰めた空気が流れる。
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