第9話 オオカミ駆除⑤ 射手
草木も人々も眠る真夜中。
ジャンとフレディ、メラニーは教会の鐘塔でひっそりと待ち伏せていた。
「どうだメラニー?」
「まだ気配はないわ」
鐘楼から索敵魔法を発動しながらオオカミたちの気配を探り続けるメラニー。
かれこれ1時間は発動し続けている。
「披露は大丈夫か?メラニー」
「ジャン知ってるでしょ?ワタシはスタミナには自信があるのよ」
「アハハ。そうだったな」
教会の鐘塔から家畜小屋までの距離はざっと20メートル。
メラニーは最大半径30メートルでの索敵魔法を維持し続ける必要がある。
その披露からか額には汗がびっしりと流れている。
そして、また1時間が流れる。
「ん?」
「どうした?メラニー」
「あそこ。見えないと思うけど」
メラニーが家畜小屋の奥の木々を指差す。
家畜小屋の付近には蝋燭が灯されているがメラニーの指の先には灯りが届いておらず、何も見えない。
「多分オオカミ。5匹いる」
「よし、家畜小屋の灯りに近づくのを待つぞ。硬直するならケンに背後から襲ってもらって木々から炙り出そう」
ジャンたちは再び待ち伏せることにした。
そして、オオカミたちが木々から出てくるまで、それ程の時間はかからなかった。
15分ほど経過したところで、5匹がそろそろと出てきた。
「出て来たわ」
メラニーのこの合図でジャンとフレディは弓を構えた。
「よし・・外すなよ。フレディ」
「うす」
射手たちは緊張をほぐすために大きく深呼吸をする。
オオカミと狩人の戦いが始まる。
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