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エピローグ

 俺の朝は、まずお湯を沸かすところから始まる。

 昔はブラックコーヒーを2人分、蜂蜜入りのカフェオレを2人分で作っていた。空と俺がブラック派、要と蒼くんが甘党だったからだ。懐かしいな。今は、別のものを用意するのも手間だから、甘いカフェオレだけが残った。

 用意ができると、布団にくるまって夢を見ている蒼くんを起こしいく。これも昔と変わらない。

「蒼くん、カフェオレできたよ。」

「んん……まだ……」

ふわふわな毛布にくるまって芋虫のようになっている。

「連れて行っちゃうよ〜」

毛布ごと抱き上げて、リビングのソファにそっと下ろす。テーブルにコトリとカップを置く。

「ここに置いておくからね。」

「んん……」

もぞもぞと毛布の塊が動いている。葛藤していて可愛い。



 この日常を、この幸せを、ただ噛み締めていた。



緑になるんだ 完

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緑になるんだ 青海空羽 @aomiku

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