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どうやら店長は、散歩をしながら限定メニューを何にするか考えていたらしい。
「フルーツサンドとかもありなんだけど、温かい飲み物と一緒に、且つそこまで張り切らなくても食べられるものがいいよなぁと思ったのよね。」
「確かに、フルーツサンドは食事にもなりますしね。パウンドケーキの方が、お茶に来た人でも注文しやすそうです。」
「隣にはバニラアイスを添えちゃおうかな?」
「いいですね!味変にジャムとかソースとか添えたら最高かも?」
「うわ!それありだわ〜!さすが柳くん!」
店長と柳さんが限定メニューを練っている。あまりに楽しげなふたりの会話は、1番卓のお客様にも届いていたようで、帰り際に
「期間限定のメニューが始まるんですか?楽しみです!また来ますね!」
とコーヒーをお飲みになっていた方が声をかけてくれた。
「光栄です。自信作になりますので、またのご来店をぜひお待ちしております。」
ふたりの話し声と、ルーズリーフにメモをしている音がBGMに加わる中、お会計とバッシングを済ませて調理場に戻った。
あっという間に店内にはパウンドケーキの甘い匂いが漂ってきた。
「この焼いてる時の香りがたまらないですよねぇ!」
幸せそうな柳さんの声に、店長が楽しそうに笑う。
「私も好きよ〜!同じことを思っているだなんて、なんだか嬉しいなぁ。」
柳さんに作ってもらったカフェオレを飲みながら、僕もパウンドケーキが焼ける様子を一緒に見ていた。
普段提供しているデザートは手作りのアイスやジェラートのみになっている。トースト以外を焼いているのはかなり珍しい。
「佐伯くんは、これ見てどう思う?食べたいなぁってなる?」
先程メモ書きをしていたルーズリーフを見せてくれた。白いお皿にパウンドケーキ、みかんのコンポートとバニラアイスを添えるらしい。
「上にも中にもみかんが入っているんですか?」
「そう、中にも入れちゃった〜。その方がきっと美味しいかなぁって。」
「すごく美味しそうです。コンポートもアイスと一緒に食べたらきっと美味しいだろうな、と……」
「それ絶対美味しいですよ!早く食べたいなぁ。」
「佐伯くんも柳くんもそう言ってくれるなら絶対美味しくなるわね!楽しみだわぁ。コンポートは明日また味見してもらうね。」
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