落ちていく 2023/11/23

 どこまでも落ちていく夢を見て、思わず飛び起きる。

 周りはまだ真っ暗だったので、枕元にあるスマホを手に取り、時間を見ると午前2時の真夜中だった。


 寝直そうとすると寒い空気を肌に感じた。

 おかしい。

 エアコンをつけているので寒くなるはずが無いのだ。

 寝ぼけ眼をこすりながら寒さの元をたどると、窓が開いているようだった。

 しかも閉まりきってなくて、少し開いているというのではなく、窓全開である。

 寒いはずだ。


 寒さの原因は分かったが、ひとつ疑問が残る。

 窓が全開で開いていると言うのに、私が今まで寒さを感じないのはおかしい。

 つまり、ついさっき誰かが開けたということだ。


 その瞬間、私は背中に気配を感じ、振り返るが誰もいなかった。

 念のため部屋を見渡していると、窓の外からドサッという音がする。

 何かを落ちたのだろうか?


 そう思い外を見ようとして―


 さっと横に体をずらす。

 すると後ろから私の背中かを押そうとした人影が、勢い余って人影の体半分が窓の外に出る

 人影は驚いたようにこっちを向くが、その顔には何もなく完全な闇であるため、私は相手が悪霊だということを確信する。


 悪霊は体勢を立て直そうとするが、その前に私は力いっぱい悪霊突き飛ばし、窓の外に押し出す。

 悪霊は何か言おうとしたようだが、そのまま下に落ちていく。

 ここはアパート十階だ。

 悪霊とはいえ、ただでは済むまい。


 ここ最近、さっきの悪霊が毎晩窓を開けるので困っていたのだ。

 しかし、悪霊は退治したので、寒くなることはあるまい。

 私は清々しい気持ちで眠りに落ちていくのだった。

 

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