哀愁をそそる 2023/11/04

「やった完成だ」

「博士、何ができたのですか」

「助手か。見てくれ。これが哀愁をそそるサソリだ」

「哀愁をそそるサソリですって!?」

「色々な角度で見るといい」

「本当だ。どの角度からも哀愁をそそられます」

「フハハハ。どうだ天才だろう」

「天才です。博士は世界一天才です」

「そうだろうそうだろう。フハハハ。はあ、虚しい」


 博士は近くにあった椅子に座る

「こんなもの作って何になるというのか」

 男はがっくりと肩を落とす。

「いえどこかに需要ありますって。多分」

 助手は博士を励ますが、言い切ることはできなかった。

「諦めてはいけません。足掻きましょう」

「助手よ。若いな」

「いけません、博士。諦めたらそこで試合終了です」

「無理だよ」

「大丈夫です。私がついてますから、さあ行きましょう」


 そして部屋にはサソリ以外誰もいなくなった。

 サソリは静かになった部屋で、自分の存在意義を考えてようとして、やめた。

 何度か考えたが、意味がないとしか思えなかったからだ。

 

 サソリは世界が赤く染まっていることに気がついた。

 ケースの周囲を見渡して、夕日を見つける。

 そしてサソリはずっと夕日を眺めていた。

 夕日が沈むまで、ずっと。



 ps

 今回のお題の「哀愁をそそる」がよくわからないので、よく分からないサソリを作ってしまいました

 意味わかる人いますか?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る