宝物 2023/11/20
おい、あんた、助けてくれ
あんた優秀な祈祷師なんだろ
宝物に追われているんだ
え、事情が分からない?
分かった、話すから助けてくれ
俺はトレジャーハンターで世界中を飛び回っている
とある遺跡にお宝がたくさんあると聞いてそこに行ったんだ
そこに行くとすごかったぜ
たくさんの金銀財宝があるんだから
家族に楽をさせられるって喜んだよ
あまりに多すぎて持って帰れないから、袋に入れるだけ入れて帰ったんだ
帰って持って帰ったお宝を売り払った晩のことだ
ホテルの部屋で過ごしていると、宝石が落ちてたんだ
その時は、袋からこぼれて売りそこねたヤツだと思った
でも違ったんだ
翌朝起きると、床一面に宝石とか装飾品とかの宝物が散らばっていた
気味が悪いんで、すぐに売っぱらっちまった
それで売り払ってから帰ると、また部屋の中に宝石が散らばっていたんだ
朝起きたときよりも
俺は怖くなってそのままホテルを飛び出した
だってあんな気味の悪い場所にいられないからな
すぐに違うホテルに行って、部屋を取った
金ならあるからな
でもそも新しい部屋宝石まみれだった
部屋に一度も入らずにホテルから逃げた
それからどこに行っても宝石があるんだ
どこに行ってもどこに行ってもどこに行っても
宝石があるんだ
でもアンタのことを聞いた
こういう時に助けてくれるって
出来るんだろ
本当か
これで安心して家族と過ごせるよ―
ちょっと待ってくれ
俺に家族なんているのか?
え、あの宝石は俺の宝物のような思い出が、現実にお宝になって出てきたものだって
でも俺宝石売っちゃったし、残りも部屋に置いてきたから、一つも持ってない
それだと、記憶は戻せない
そんな馬鹿な
アンタ助けてくれるって
いやちょっと待て、アンタ誰だ
どうしてここに
何も思い出せない
俺はいったい誰なんだ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます