第15話

ハンドルを握りながら

そう言えば名前も聞くの忘れてたなと思い出す

突然の敵との邂逅でお互い焦っていたのかもしれない


「まぁこれがあれば迎えにくるって言ってたしその時また聞くか」


ポケットに入れていた石を取り出しを眺めながら呟く


〇〇〇姫の迎え石

〇〇〇姫の力が込められている


相変わらず鑑定の説明は当てにならない


胸元にいる藍は疲れたのか眠っているようだし

運転中なのでステータスの確認は実家に着いてからにしよう

そこから変わり映えのしない田舎道を進み漸く実家が見えてきた


無駄に広い敷地内に車を停め

限界集落一歩手前と言われても納得する様な街

小さい頃は嫌いだったはずなのに帰る度に安心する

懐かしい空気を肌に浴びながら実家の扉を開いた


「ただいま」


少し遅れてドタドタと聞こえ

「おかえり、元気だった?」

皺が増え白髪の目立つ母親の声


頬を掻きながら


「あぁ」


とだけ返す


「お父さんもおばあちゃんも夕方過ぎに帰ってくるから夕食はその後にするわね」


少し話した後そう言って台所へと戻る母親


時計を見るとまだそれまで時間がある

空けてあると母から聞いた自昔使っていた部屋に向かい腰を下ろす


「はぁ〜この歳になって何年も会ってない親と話すのは気不味いなぁ」


気を遣ってか何も聞いてこないが突然帰ってきた息子

気にならないはずはない

みんなが集まる夕食の時に説明しないとな


もちろんお前の事も、と寝てる藍の頬を指で撫でる


それまでに色々確認をしておかないとダメだろう

ステータスを開くと


江浦幸助

レベル13

肉体42

精神59

霊力13.2


レベル10

進化中


藍が寝てるのは進化の為だったのか

それにクエストが点滅してる


クエストを開いてみると

絡新婦三姉妹の長女討伐完了

10万円獲得


鯰姫の救出完了

50ポイント獲得


50ポイント!?と驚いたがあの姫さん鯰姫って言うんだな

だから髭生えてたんだ……

妙に納得した気分になった


それから近所のマップを開き良い討伐場所などを探っていると母から呼ばれる

2人が帰ってきて夕食にするとの事だ

部屋を出て階段を降りてる途中から父親の声で

野生動物の被害がどうたらと聞こえてくる


自分の現状を話さないとなと気合を入れ直しリビングの扉を開く


食卓前に座る白髪頭の焼けた肌の男性、父親だ

その隣に座る祖母は90過ぎている

記憶よりも小さい祖母なんとも言えない気持ちになる


「ただいま父さん、ばあちゃん」


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無職になったおっさんモンスター退治で生活する プティー @rimuputyi

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