第9話 鬼

深夜お腹が減り藍を胸ポケットに入れてコンビニへと向かう途中急に藍が鳴きコンビニとは別の道へと進みたがる


「こっちに行きたいのか?」


「キュ」


藍の案内の下歩いて行くと何かの膜を通り抜けた様な不思議な感覚を覚える


「なんだ今の……」


不思議に思いながら周りを見るとゴブリンに似た容姿の生き物が走ってくるが今までの経験からか

無意識に木刀を取り出し叩きつける


ふんっ


「ギャァァァァ」


ゴブリン仮が悲鳴を上げ煙のように消える


「もしかしてゲートの中なのか?」

先程の膜はゲートだったのかもしれない

しかしドロップアイテムはない

考えながらも歩くと数名の声と戦闘音が聞こえる


「どうしてここに鬼が出てくるのよ、餓鬼だけじゃなかったの?」


鬼?餓鬼?なんの事だ?


「僕だって知らないよってか、どうしよう」


見たところ10代くらいの2人の人間が3m程のまさしく鬼のようなモノとたたかってるようだが苦戦してる


「おーい大丈夫かー?」

気の抜けた声を掛けながら近付く


「えっ?どうしてここに一般人が?」


「ぼ、僕はちゃんと人避けの陣を張ってたよ……?」


「貴方早く逃げなさい!!私達が時間を稼ぐから!」


若者のくせにかっこいいじゃないか


「モンスター退治はおっさんに任せなさい、藍は落ちないように気を付けろよ」


キュと鳴いて返事をする藍

呆然とする2人を追い越し鬼に向かう


「くらいやがれっ」


全速力で鬼に近付き木刀を叩きつけるが効果が無い

声を荒げ腕を薙ぐ鬼の攻撃を避ける

そこから何度か攻撃をするがダメージを与えられない

どうしたものかと思っていると2人が声をかけて来た


「霊力がないと攻撃しても意味がないのよ!!」


「そうです!だから僕たちに任せて…」


なるほど霊力か……おっさんは霊力を循環させ鬼の膝を叩き怯んで頭を下げた鬼の目に木刀を突き刺す


「攻撃が通るならお前なんかに負けねぇん…だよっ!!」


鬼はタコ殴りにされ悲鳴を上げる間も無く煙になる


「嘘っ……」


「もしかして同業者の先輩……?」


起伏の激しい2人だなぁなんて呑気な事を考えているが思い出した

ドロップがない


「2人とも聞きたいんだけど、こいつアイテム落とさないの?」


頭にハテナが浮かんでるように首を傾げる2人


「アイテムってなんの事ですか?」


「霊力石にさっきの鬼の霊力が溜まってるはずよ」


どうにも話が通じてないようだ

どうしたものかと考えてると藍が飛び出して何かを吸い込み始める


ケプッ


もしかして!?


レベル3

スキル 霊力探知 霊力吸収


鬼の残滓を吸収してレベルアップ及びスキルを手に入れた


藍はお腹いっぱいなのか寝始めた


アナウンスは無いけど詳しく書いてくれてるじゃん

色々とステータスボードを読んでいると

レベル5

肉体15

精神21

霊力2.1


スキル 鑑定 アイテムボックス

マップ ショップ Newクエスト


霊力が少し増えてクエストが増えていた

クエストを開くと

低級鬼退治完了1万円と書かれている


もしかして……フハハと笑みが溢れる


少し時間が経ち落ち着いた2人がお礼を言いに来た


「「助けてくれてありがとう(ございました)」」


「たまたま鬼退治のクエストがあっただけだから気にしないでいいぞ」


「クエストって依頼の事?」


「僕たちみずのと級の退魔師なんで鬼にはまだ勝てないんで助かりました」


「癸かぁそれは大変だなぁ」


癸ってなんだ?よく分からない


「俺は用事があるからこの辺で2人も気をつけて帰れよ」


そこから少し2人と話をしたが

退魔会が〜残穢?が〜と

難しい話ばかりでよく分からない少し飽きて来た

お腹が減りってきたのもあり心ここに在らずなおっさんは2人に別れを告げる


「いやぁ臨時収入があったから少しいいお酒飲もう」


降って湧いた1万円を手に夜の街へと繰り出す

そんなおっさんを照らす夜空はいつも以上に輝いていた



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