第10話新婚旅行(今度こそちゃんと旅行)

僕とアムが夜の運動会をした後に出発する。昨日から旅行しに行くつもりだったんだけどなぁ。何でこうなったのやら。僕はそう考えながら泊まっていた宿屋から出て行く。此処は結構良い宿屋だったな。僕が寝てたのはアムの膝だったけど。


「ごめんね、アム。せっかく宿屋に泊まったのにアムの膝で眠っちゃったからアムはちゃんと休めなかったでしょ?」

「いえ、気にしなくても良いんですよ?私はポセイドン様の可愛い寝顔で癒されましたから。それに私は普通とは違いますから」

「それなら良かったけど……………………寝顔見られてるのか。少し恥ずかしいな」

「恥ずかしいって………………………いっつもそれ以上の恥ずかしい目に私を合わせてるくせに」


アムは顔を赤くしながらそう言った。あぁ、可愛すぎて狡いわ。どれだけ僕を魅了させれば気が済むの?僕はそう考えながらアムの手を引いて出発予定の魔導馬車に向かって走っていく。僕とアムが魔導馬車に着いた頃にはもう出発寸前だったが、止めてもらい、乗ることができた。


この魔導馬車は昔に降臨した時に乗った馬車とは違って振動が酷くない。僕が日本の頃に居た時と比べたら少し大きいが、それは魔具物と呼ばれる物が必要なのでしょうがないであろう。僕がそう考えながら座っていると、アムは僕の膝に落ちてきた。アムはとても気持ちよさそうに眠っていた。


僕たち神々は寝る必要は全くと言って良いほどに存在しない。けど寝る事でストレス発散や疲労回復の効果がある。とは言っても神力を使えば回復するし、時間も掛からない。けれども神力を使いたくない、精神的余裕を生ましたい、といった理由で寝る神は結構多いんだよね。


僕はそう考えながら僕の膝で寝ているアムを起こすことはせずにアマの頭を撫でる。サラサラという感触に『心地よい』と思いながらもアムを起こさない為に優しい手付きで撫でていく。アムが僕を撫でていた時ってこんな感覚だったんだなぁ。


僕がアムを撫でてから少し経つと僕とアムの目的地に着いたのでアムを起こそうか。とは言ってもアムって眠りが深いからか全然と言って良いほど起きないのだ。本当にどうしようか、僕はそう思いながらアムの耳の近くに行き、囁く様に『起きろ』と言うとアムは艶やかしい声を上げながら起き上がった。


「はぁ、はぁ、寝起きから酷い目に遭いました」

「えぇー、酷い目に遭ったって言われてもアムが起きなかったのが悪いんじゃん?」

「そうですけど……………そうなんですけど!だからって耳に囁かないでも良いじゃないですか!」

「あれ?アムってそんなに耳が弱々だったっけ?」

「何を言ってるんですか?ポセイドン様。私の耳を弱々にしたのはポセイドン様でしょうに。私がそう反応する様子が見たいからって嬉々としてやったくせに」


アムは顔を赤くしながらそんなもじもじとした姿を周りに見せている。一番に見せているのは僕になのだろうが、それでも周りに見られるのは面白くない。『アムは僕の嫁だぞ?勝手に見るんじゃないよ。三つ目の権能で冥府に送った後に無限地獄に送ってやろうか?』僕はそう考えながら魔導馬車から出ていく。


僕とアムが魔導馬車から出てきた後の景色はとても美しかった。此処は森の街『フォーネス』、景色が美しい事で有名な街である。ふふふ、エルフが経営してる街だから綺麗だよな。僕はそう木々が生い茂り、自然がとても心地良い街を眺めているとアムから話をフラれてきた。


「ポセイドン様は此処の街を見てからとても心地よさそうに眺めてますよね。この街を気に入ったんですか?」

「ははは、そうだね。僕はこれでも自然の神なんだ。しかしこの街は随分と自然を大事にしてるみたいだね。森の気持ちが僕に流れてくる。こんな暖かいのなんて久しぶりだよ。後で僕の加護をあげとこ」

「ポセイドン様が自然の神だって事はとっくに知ってますよ。………………ん?ポセイドン様、貴方今、この街に加護を与えるって言いました?」

「そうだよ、僕が加護を与えたら面倒臭い事が起きるかな?」

「いや、起こるに決まってるじゃないですか。ポセイドン様はこの世界の創造神なんですから。まぁ良いですよ、ポセイドン様が身勝手に加護を与えるのは昔からですので」


なんか呆れられた気がするのだが、これは僕の自業自得なので気にしない方面で行こう。ぼくとアムが本格的に街に入るとエルフで沢山………………という訳ではない。ぶっちゃけて言うと人間や獣人の方が圧倒的に多い。まぁエルフは数が少ないからしょうがないんだろうね。


僕はそう思いながらアムの手を引いて市場に向かっていく。前にロストの所に行った時とは違うのがあるみたいなのだ。ちなみにだが、この情報はロスト経由のものだ。アイツの情報収集能力って結構すごいんだよねぇ。僕はそう思いながら店の売っている物を探していくとフルーツが沢山乗ってあるクレープが置いてあった。


クレープか………………全然食べてないから久しぶりに食べるのは良いかもな。僕はそう思ってアムに確認を取るとokが出たのでお金を亜空間倉庫から取り出してクレープを買いに行く。

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