異世界編(ローズタニア)

第6話番外の英雄と海神

僕は今、僕が管理している世界に降臨している。とは言っても僕を信仰している信徒たちには内緒にしているんだけどね。それじゃあもうそろそろかな?そう思っていると片目に傷を負った青年が現れた。約束通りの時間に現れてくれたね、そう思いながら僕は青年に話しかける。


「久しぶりだね、ロスト。というか魔力とかの諸々の力が前よりも更に増えたんじゃないの?正規の英雄では無いのにこれは驚きだよね」

「いや、俺はそう驚いてはいないですよ。確かに俺は正規の英雄ではないですけれども、アンタの使徒ですので」

「確かにそうだけど……………………ここまでなるのはちょっと予想外なんだよ?使徒と言っても適正属性じゃないから力も全然と言って良いほど出せないし」


僕がそんな事を言うとロストの顔は驚愕に染まっていて身体が硬直していた。あはは、当たり前か、だって初期の初期でさえ僕が与えた力に翻弄されていたみたいだしね。僕はそんな事を考えながら前に来た時より発展している街を見る。


「本当に凄いよね。例え君の前世が日本だったとしてもここまでやれていたのは見た事が無かったよ」

「そんなに褒めないでくださいよ。ここまで発展させる事が出来たのは仲間が居たから出来たんです。その褒め言葉は俺の仲間に言ってほしいです」

「確かにここまで発展できたのは君の仲間の力もあるのだろう。だけど僕の子人間たちが君に協力したのは君だからじゃないのかな?ロストの優しさが、強さが、精神があったからなのだと僕は思っているよ」


僕がそう言うとロストはポカンとしていた。てか僕はそろそろ美味しい食べ物とか面白い施設とかに行きたいんだけど。僕はそう思いながらロストの手を引き、良さそうな店に行く。一番近くの屋台はたこ焼き屋だったので昔にこの世界で稼いだお金でたこ焼きを買う。


そのたこ焼きは久しぶりに食べたからなのか昔に食べた物よりも更に美味しく感じた。アムに日本に居た頃にあった料理を作ってもらっていたのだが、アムは味の濃い料理はあまり得意ではないので大体が繊細な味わいになっている。まぁ、たまにはこういう味の濃い食べ物は良いよね。


僕はそんな事を考えながらたこ焼きを口に入れながらハフハフと息をする。やっぱり熱いなぁ、これでも大分冷ました方なんだけどな。やはり僕は猫舌っぽいんだよねぇ。アムが作ってくれた料理も冷まさないと食べられないし。美味しいは美味しいんだけどね。


「ねぇ、ポセイドン様。貴方が食べる時に思うんですけどすごい猫舌ですよね。ウチの嫁の中に猫舌の奴もいますけど、そこまで酷くはないですよ。やっぱり海神だからなんですかね?」

「あはは、多分海神の中でもこれだけ酷いのは僕だけかな。というか海神って並大抵の熱さや火は通じないから猫舌は僕だけだと思うよ」

「意外ですね、ポセイドン様って確か海神の中でも最高位でしたよね?最高位の神って何かしら欠点を抱えているものなんですね。特にゼウス様とか」

「おい!何サラッと僕の兄様を貶してるのかな!?確かにゼウスお兄様はよく加減間違えて自分の宇宙を消し炭にしたりしてるけど!割とそれは面倒臭いと思ってるけど!言って良い事と悪い事があるんだよ?」

「いや、ポセイドン様の方が酷い事言ってますよ。その自覚はありますか?」


僕はロストにそう言われて自分のセリフを振り返ってみると結構本当の事を言ってしまった。しまった、もしこれをゼウスお兄様に聞かれたくないなぁ。だってゼウスお兄様って主神の癖に割と面倒臭いからね。あとヘラお姉様に怒られたくない。あの神はあの神で面倒臭いからなぁ。


僕はそう考えながらたこ焼きを食べ終えたので立つ。それから僕とロストは武器屋に向かう。ロストに一番腕が良い店を紹介してもらって入る。入ってから最初に目に入る武器はとても美しかった。信じられないね、この武器を人の子が作ったなんて。神力や天力、それどころか魔力も感じられない。己の手一つでここまでの武器を完成させたのか。


技術のみでここまでの域に到達しているのだ。未知と言われても過言ではない。そう僕がその武器にキラキラとした視線を向けているとロストから『他の武器とかどうですか?』と言われたので他の武器を見てみると、とても素晴らしい刀が置いてあった。僕が戦闘で使う武器は主に槍なのだが、たまには刀も良いのではないのだろうか?


「店主!この刀買うからください!」

「何じゃと!お主…………………この刀の価値が分かるのか!?」

「え?この刀の価値が分からない奴がいるんですか!?そんなの超がつくほど勿体無いですね!」

「おぉ!おぉ!そこまで分かってくれるか。よし!儂はお主の事を気に入ったぞ!この刀の値段を低くしてやろう。しかし儂は実力が無いやつにこの刀を売りたくはない。じゃからお主の実力を見させてもらおうか」


武器屋の店主がそんな事を言ってきたのでどう測るのか聞くと、此処近くの平原に魔物が結構出るのでそこで測るらしい。ちなみにですけどロストが魔王を倒したので魔物たちが弱まったという話を聞いてニマニマしました。




______________________________________________

□ロスト

日本で事故死してしまった日本人の魂が輪廻の輪から外れたのを見て、ポセイドンが自分の世界に転生させた転生者。最初は異世界を謳歌していたのだが、魔王が誕生した事でポセイドンの使徒化した。ちなみにだが、結構なハーレム王である。


補足:ポセイドンにとって魔王誕生は予想外だった。なのでポセイドンはロストに途轍もない恩があると思っている。ちなみにロストは転生してくれたから十分だと考えている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る