どんな奥義も使う意図が違ってくる世界
怖っ。
えっ、転生者って事ばれた感じ?
作中屈指の天才的頭脳の持ち主とはあったけど、本当に凄い。
エロゲの世界に存在して良いレベルを超えてしまっている。
銀虎族の分のイライラもあり、多少わかりやすく脅したがここまでとは思わなかった。その頭脳を変態スライムなんかに使わずにもっと別の部分で使って欲しかった。
エロゲという一種の世界では高スペックな全ての才能もそういう方面に使われる運命なのだろうか。
「よし。」
「っ……!」
「銀虎族は可能な限り弁護を図ってみるが、その代わり条件がある。」
「はい。」
その後の話し合いの結果、リアベルはその条件を呑み、カイザーは今までの事には目を瞑る結果となった。
「ボス、お待たせしました。」
「陛下、皆を連れてきた。」
リアベルとの話し合いが終わり、多くの気配がするところに行くと向こう側からもジャガーとリナが近づいてきた。近くには同じ銀虎族である大多数の集団がいた。
主に男性陣が気まずそうに俺から目をそらしている。
うん。ちゃんと記憶があるんですね。
凄い気まずくなりますよね。
「このたびは、本当にありがとうございます。私は族長のジュゴンと申します。」
「いえいえ。」
とても丁寧に挨拶を交わすジャガーの父親、昨日とはまた随分違う変化だ。
「昨晩は申し訳ありません。」
「いえ、気にしないでください。皆さん正気を失っていたんですから。お互い昨日のことはなかったことにしましょう。」
「それは出来ません。このたびのご恩は我々一族一生忘れませんとも。」
妙に義理堅い種族のようだ。
昨日の醜態を隅から隅まで見てしまった自分としては同一種族かと疑う程だった。
「えっと、それでなんですが、陛下というのは?」
リナとジャガーの様子を見たジュゴン、昨日の規格外の戦闘力を目の当たりにした当人としては興味が湧くのも当然だった。
「話せば長くなるそうなんですけども。」
○○カクカクしかじか。
カクカク○○しかじか。
しかじかカクカク○○。
「という訳です。」
「なるほど。」
なんとかここに至るまでの経緯を伝えた。
「それで何ですけど、今回のスライムの犯人につきましては。」
「ああ、そちらの方はかまいません。我々は何も致しません。」
リアベルのことは話したはずだが、そこまで気にしていないようだった。何人かからは険悪な視線を感じるが、主にジャガーのように若い者が多い。
「我々銀虎族は他人の獲物を奪い取ることは決していたしません。奪うならばその奪った本人を獲物とする。それが我らの流儀です。」
「貴方一人に一族全員が完膚なきまでに敗北した。その上で獲物を寄越せなどと言える立場ではありません。」
ジュゴンの話を聞いた若者達も渋々だが確かに納得したように戦意をおさめた。
「分かり……、」
「だが、リナは別です。」
急に雰囲気が変わるジュゴン、最初のどこか気さくなおじさんのような空気は唐突に消え去り、周りの者とは格別した戦意を露わにした。
「先ほどリナがこう言ったんです。」
周りがジュゴンの戦意に気圧される中、カイザーだけはどこ吹く風のように向かい合っていた。
「至高の雄を見つけた、と。」
その娘の言葉を聞いた瞬間に、ジュゴンの中で走馬灯のように流れ出すリナとの思い出。
『………パパ。』
『ママ、お父さんの服と一緒に洗わないで。』
『臭いお父さんいるから、今日は友達の家に泊まってくる。』
カイザーは思った。いや、嫌われてません?そう思うほどにろくな思い出がないように思えた。
「そんな可愛いリナをたぶらかした奴が、昨晩我らを倒した強者であると知りました。」
一族の殆どが賛成していた。強い者を尊ぶ習性が根強く残る銀虎族では誉れのように扱っていた。しかし、
「私だけはそう易々と認めるわけにはいきません。」
力強くとも、この鬼族の子供は魔王なのだ。
世界に悪逆を広げようとしている代表格の一種なのだ。
「全身全霊をもって貴方を見極めたい。」
ダンディズムなおじさんに獣耳が生えているだけだった見た目は、徐々に筋肉が膨張するように肥大化していく。やがて全身から銀の毛並みが生えて体を覆う。
これが本当の銀虎族。
太陽の光に照らされて、輝く銀の毛並み。こちらを見つめる獰猛な瞳。狩りに特化した肉体はしなやかに力強く、そして太く。
太古の血を呼び覚まし、顕現する獣本来の姿。古代から頂点の一つとして数えられているその真の姿は顕現した。
【銀虎族 本能解放】
エロゲのキャラの中でも、才能があり、その領域に入った者だけが扱える真の姿。獣本来の本能を露わにすることで暴力的な戦闘センスを発揮する。
選ばれた者のみが使える亜人の戦闘形態。世界でこれを出来る亜人が世界に何人居るだろうか?亜人にとって、この形態は憧れでもあり畏怖の対象でもあるのだ。
ただ、
惜しむらくは、
カイザーだけが知っている、むふふなゲームの中では、
(そういうプレイの中でしか出なかったんだよな。)
シリアスな雰囲気とは別の生暖かい空気が流れた、微妙な感覚だった。
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