月光

作者 春野カスミ

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★★★ Excellent!!!

 この物語のテーマになっているのは、クラシックの有名な楽曲『月光』。
 曲を聴いたことがない方は是非、音楽を聴いてから本作を読むことをお勧めします。

 ピアノのコンクールに出場する少年と少女の心情を綿密に描いた作品。
 ストーリー展開の仕方、状況描写、言葉の引き出し方。全て鳥肌ものです。
 掴みからどんでん返しまで、一気に持っていかれます。最終話を読了した時には、多くの感情がこみ上げてくるでしょう。

 圧巻でした。素敵な物語を紡いで頂き、感謝です。

★★★ Excellent!!!

終始びっくりさせられました
1話目から想像した方向とあらぬ方向に曲がったな!?と思ったらまたぎゅいんって曲がって、そのあともう2回くらい曲がります

描写が世界の雰囲気がよく伝わってきます。
いや、現実世界のお話なのですが、2人のいる空間、2人が見ている世界という意味で!

私は月光を聴いたことがないのですが、聴いたことがある人のほうがより世界観に浸れるのかなと思いました。
後で月光を聴いて、もう一度読み返そうと思います。
プロアマ問わず、最近読んだ話で一番好きです

★★★ Excellent!!!

読む前に、一度原曲を聞いてみることをおすすめします。
そして読んだ後に、もう一度聞きたくなることでしょう。

作者様がどれほど意識されているのかはわからないですが、作品の構成も、“月光”に通ずるものがあります。第一楽章から第三楽章まで、たしかに聞きながら読むと、ちょうど場面と重なるように流れてくると思います。

音楽と死生観という深く難しいテーマを、この中に上手く落とし込めています。
今の若者は素晴らしい……ちょっと高校生が書いているとは思えないくらいの出来栄えです。

#しえる/スティリア

★★★ Excellent!!!

 美しい。

 美しい文章が、ベートーベンの「月光」の音を記憶のそこから引き出されます。

 ピアニストを目指し、その才能に惹かれ合う2人の高校生の男女。陰と陽、解釈の違いで全く異なる表現になる月光。自分にないその世界に惹かれ合いながら、自らの世界しか表現できない2人。

 せつない。そして美しい。

 2人の思いが、2人の人生が、月光の曲によって歪んでいく。

 って、これ書いたの高校生?!

 才能に嫉妬してしまいます!

★★★ Excellent!!!

 まず、これから読まれる方にしっかりと言っておかなければならないことがあります。
 それは、ユーチューブかLINEミュージックかSpotifyを開きなさい、ということです。そして、ベートーベンの「月光」を再生し、聞きながら読みましょう。
 僕はというと、紹介文を読まずにパパっと読んでしまったので、今、このレビューを書きながら読んでいます。
 まず、曲について言うと、めちゃめちゃ暗い。すごい暗いんです。でも、なんか深みと、なんとも言えないんですけど、人を惹きつける力があるなぁと感じます。

 そんな「月光」をテーマにしたこの作品。ライバルである男女のピアニストの「最初で最後の音楽の授業」の話。
 最後の方とかすごい驚かされましたけど、僕は前半こそ深みがある、この作者さんの本領が発揮されてるなぁと感じます。

「徒然に、君想う」のレビューでも言いましたけど、この作者さんは一言一句に重みと深みがあります。それと月光は相性抜群なんです。
 そして、この作品で、月光について「ピアノの泣き声」という表現をしていますが、すごいしっくりくるんですね。
 また、このワードは後にもつながってきますし。
 最後の一文もまた気に入りました。
 それぞれの話の最後の一文にも長けておられるなぁとも思いましたね。

 あ、月光が終わりました。
 では、今回はこの辺で……。