静寂の月とその光に、貴方は何の翳りを見るのか

少年少女の葛藤と苦悩、その選択とそれを受けてまた苛まれる様子を、「月光」の音色に重ねて描く、ボーイ・ミーツ・ガールの行く末。

眼に映る彩も、耳が拾う音も、あまりに美しくて、ずっとそれに焦がれていた。
それはさながら星に手を伸ばすように、或いは月に手を翳すように。
眩しい月に手を伸ばすと、自分に影が落ちる。光は降りかからない。
月の光で照らされる若人は、その音律から懸命に己の求めるものを見出そうとする。
彼らは影など気にせず懸命に手を伸ばしていた。そのはずだった。

光が強いと、それに比例して影は濃くなる。
照らし照らされ、彼らは光にも影にもなり得るのだろう。

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