等身大に生きる少年少女たちは、「あと一歩」の瞬間を探っては躊躇する。
まだ熟れていない青さの残る心は、傷つくことを嫌って、恐れて、人を遠ざける。
そんな自分に苦悩して、藻掻こうとしたり、諦めたり。
その挙動ひとつひとつが紛れもなく青春の一片で、しかしその渦中にいるうちは気づけないのだ。
少女は、そして後に続くように少年は、踏み出す勇気を得た。
その一歩は後で振り返れば些細でくだらないものに思えるのかもしれないが、葛藤の日々と選び取った未来は青春の勲章とも言えるほど貴重なものであろう。
読了後の清々しさに、彼らの未来を想う。