「月光」 ――ピアノの号哭

先ほど、最終楽章を読み終えました。それと同時に、時計が鳴り、私は現実世界に引き戻されました。

ですが、「月光」が、ピアノの号哭が、まだ頭の中でかすかに聞こえるのです。

私は、ベートーヴェンの「月光」を知りません。けれど、静かな部屋の、その沈黙の中、たしかに、聞こえるのです。

「月光」の調べ。
希望と絶望の――ピアノの号哭が。

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