書いて、描く。

『絵を描くことを趣味とする浅倉 陽葵は、とある日の放課後、教室に忘れ物を取りに行ったことで無愛想なクラスメイト向井田 徹に「付き合って欲しい」とただその一言を告げられる。
しかしそれは告白ではなく、新作の小説の表紙絵を描いて欲しいという頼み事だった──。

得意なこと、やりたいことを見失った少女は少年の綴る文章に翼をはためかせ始める。』
(本作紹介文より引用)


「俺の小説の表紙を担当してほしい」
「それでも、浅倉さんがいい。朝倉さんじゃないとだめなんだ」
(【第1話 そよぐ秋風】の向井田の台詞)

これは創作をする人にとって一度は言われてみたい台詞だと思う。

そうでなくても、まつげが長く、目もぱっちり二重で薄い唇の美男子(向井田のことだ)に「君がいい。君じゃないとだめなんだ」と言われたら、もう堪らないだろう。陽葵が勘違いしたのも無理はないかもしれない。

この後、陽葵は小説の表紙絵を描くことを承諾する。

その制作を通して、向井田と友情を育んでいく。
そして、向井田の小説、それから向井田に心惹かれていく。