番外編 とある朝の出来事


「あ! ひな! 危ないっ!」


 絶叫が交差点で響き渡る。


 彼女の視線の先には交差点を飛び出した少女。その少女は大型のトラックの移動線上に突っ立っていた。


 トラックが止まる気配はなく、このまま少女が動かなければ確実に轢かれるだろう。


 しかし、少女は恐怖で動けず、その場で固まってしまっていた。


「――ッ!」


 俺はその光景を目にした瞬間、無意識に足が動いていた。一切の躊躇いはなく、全速力で死地へと駆ける。


 まるで自分の足ではないような速さでスタートをきって、足を回し、腕を振って、無我夢中で走る。


――ププッー!!


 ブレーキ音と、けたたましく鳴り響くクラックションで自分とトラックとの距離を肌で感じる。


 (間に合わないっ)


 そう感じとった俺は少女に向かって両腕を大きく開き、身を投げ出した。


 少女を掴み離さないよう強く抱きしめ、自分の背中を下にしてコンクリート道路に勢いよく体当たりをぶちかます。


「――――ッッ」


 全身に痛みが駆け巡った。身体中の骨が軋むようだ。


 俺は痛みに耐え、後ろを振り返ると、そこにトラックの姿はなかった。


 どうやらこの状況がまずいと思ったのか、逃げてしまったらしい。


「……イッテェ」


 すると、また鋭い痛みが身体を襲う。


 痛みの強いところを探すと、右膝が擦りむけ血だらけになっていた。


 だが、これぐらいなら数日もすれば治る。骨折らしいものはしていないし、軽傷の範疇だろう。


 問題は少女が怪我をしていないかだけど……


「大丈――」


「みよねぇーっ!」


 俺は抱きかかえた少女に声をかけるが、先に少女は俺の両腕から抜け出し姉らしき女性の元へ走る。


 女性は屈んで、少女を抱きしめた。女性の目元には涙が流れていた。


「良かったっ、良かったっ……」


 俺はその風景を微笑ましく見ていると、姉の顔がちらりと目に入った。


「――――」


 俺は見惚れてしまっていた。


 長いまつ毛に、太陽に照らされて輝く白髪、日本人離れ、というか人間離れした美しい顔。


 簡潔に言うと、めちゃくちゃの美少女だ。


 俺は彼女に見惚れていると、その瞬間、彼女は俺の方に視線を移す。


 綺麗な赤色の瞳と視線が交差する。


「――――」


 炎のように力強い赤色の瞳に、汚れを知らない白髪。


 俺はその姿に神々しさすら覚える。


 すると彼女は立ち上がって、俺に向かって頭を下げた。


「あの、ありがとうございました……」


「――――」


「えっと……?」


 おっといけない。見過ぎてしまった。


「――いえいえ。当然のことをしただけです」


 不自然な沈黙を取り繕うように、笑顔でそう言った。


「では、これで」


 俺はくるりと身をひるがえらせて、その場を後にするように歩き出す。


「えっ、あの待ってください!」


 後ろから声がかけられ、俺は足を止めた。


 俺は視線だけを彼女の方へ向け、言葉を待つ。


「えっと、あの……えっと」


 俺がじっと待っていると、みるみるうちに彼女の顔は紅潮していき、言葉を詰まらせる。


 次に出す言葉を躊躇っているようだ。


 そこで背中を押すため俺は彼女の元に近寄り、優しく問いかけた。


「どうかしましたか?」


「――ッ!」


 彼女の頬はまた一段と赤くなって…………


 そして、俺は彼女の反応を見て、穏やかな微笑みを浮かべながら「ゆっくりで良いですよ」と言葉を発す――――


 


 ――メインヒロインゲットォォォォォォッ!




 


 俺は心の中で雄叫びを上げた。  




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 完結を目指して頑張ります!


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