番外編 side役満女子②

 今日は大好きな妹とランドセルを買いに来て、その帰り道。


 ひなは買ったばっかりの赤いランドセルを背負って、さっきから嬉しそうに走り回っていた。私はその姿に思わず笑みがこぼれる。


 ひなの楽しそうな姿を見ると、心が安らぐ。学校で疲れた心にスーッとひなの可愛さが浸透して、心身ともに回復する。


 メガネをかけてきて正解だった。


「アルビノ」の人でも個人差だが、光を眩しいと感じてしまう羞明しゅうめいという症状が発症することがある。私はそれにかかっており、外に出る時はこの遮光しゃこうメガネをかけないと、眩しくて周りが見えなくなるのだ。


 そういうことも合わさって外出は嫌いだが、妹と一緒なら私は喜んで外出する。私はすっかりシスコンになってしまったらしい。


「みよねぇちゃん、みてみて!」


 ひなは買ったばかりの赤いランドセルをつけ、私にくるりと回って見せてくる。……可愛い。


「可愛い。ひなが一番可愛いよ」


「えへへ」


 私がそういうと、にこーっとひなは満遍まんべんの笑みを浮かべ、そして、機嫌良く今度はスキップし始めた。


 ご機嫌なひな、可愛い……でもここはもう外、この通りは交差点が多いし危ない。ひなの安全は私が守らなくちゃ。


「ひな。危ないからお姉ちゃんと手を繋いでおこうか?」


「えー、だいじょうぶだよ。もうしょうがくせいだもん!」


 ひなはドンと自分の胸を叩いて自信げに言う。


「だーめ。ほら、手出して」


 ひなに自分の手を差し出すと、ひなは頬を膨らまして抗議の視線を向けてくる。きっと、自分が信用されていないと思ったのだろう。


「大丈夫だってば!」


 そう叫ぶと、ひなは家の方向に走り出してしまった。


「あっ、ちょっと!」


 私は止めようとひなを追いかけて走るが、途中で帽子が取れて、隠していた髪が飛び出てきてしまった。


「あっ」


 私は急いで帽子を拾い、辺りを見回した。周りには誰もいないことを確認し、安心にホッと息をつく。


 そして、ひなを追おうと顔を上げると――


「あ」


 そこには、交差点を飛び出し、車の進行方向に入るひなの姿が目に入った。


 私はそれ見た瞬間、反射で叫ぶ。


「ひな、危ないっ!」

 

「え? ――あっ」


 ひなは車に気づくと恐怖で立ち止まり、その場に座り込んでしまった。


 近づく車両、運転手は気づいていないのか車が止まる気配は一向にない。


 このままだとひなが……


「ひなああああああああああああああっ!」


 ――ひなが、死ぬ。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 短くてすいません。長くなりそうだったんで、良いところで切りました。


 次回は夜に上がれたら良いなぁ、と思いつつ。


 そして、なんと70PV達成っ!! 見て下さった全ての方に感謝!




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