概要
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!永遠の黄昏時の、刹那の記憶
人は美しいものを見ているとき、幸せな気持ちになるのと同時に、その時間に終わりが必ず来ることを予期して、切ない心持ちにもなる。
黄昏時にはその要素がふんだんに詰まっていて、更には闇が迫りつつあるために、人間の心に芽生える小さな恐怖心が同居する。
タイトルと冒頭一行目の言葉選びで作者は、これらの全てを少しずつ、読者に植え付けることに成功しており、
――自分はこれを知っている。続きが読みたい。
と、あっという間に思わせてしまう。
とても心地よい文章のリズムと
ひとつひとつ、そっと、丁寧に差し出される情景や感情についての情報が、
読者に心のままに想像する悦びを教えてくれる。
そして少し変わっ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!極上の幻想文学。そして相対性理論
「土手下に立つ桜木のそばに『黄昏』は集められていた。
お気に入りは、豚の貯金箱に貯められた夕方の電車の音。豚のおなかに耳を当てると、町の中央駅から出発した電車が、がたん、となる。」
たまらない情景描写に興奮してレビューを打つ指が震える。
集められていく『黄昏』
そして盗まれてしまう『黄昏』
一日の中からすっぽり抜けてしまった。とある。
最高の恐怖。最高の幻想。
本来『黄昏』は、相対的なものであって、絶対的なものではないとわかる。それはそれぞれの人の心にうつる、心象風景であると思うからだ。
だが、ここでは、沢田こあきによる『黄昏』とは絶対的なもので、等しく皆から失われる存在だ…続きを読む