永遠の黄昏時の、刹那の記憶

  • ★★★ Excellent!!!

人は美しいものを見ているとき、幸せな気持ちになるのと同時に、その時間に終わりが必ず来ることを予期して、切ない心持ちにもなる。

黄昏時にはその要素がふんだんに詰まっていて、更には闇が迫りつつあるために、人間の心に芽生える小さな恐怖心が同居する。

タイトルと冒頭一行目の言葉選びで作者は、これらの全てを少しずつ、読者に植え付けることに成功しており、
――自分はこれを知っている。続きが読みたい。
と、あっという間に思わせてしまう。

とても心地よい文章のリズムと
ひとつひとつ、そっと、丁寧に差し出される情景や感情についての情報が、
読者に心のままに想像する悦びを教えてくれる。

そして少し変わったクラスメイトとの、ひとときの美しい時間にどっぷりと漬けられて、何かを永遠にしてしまいたいという感情を抱く。
黄昏時と同じように。
主人公と同じように。


なんと美しい2,646文字だろうか。
この美しい作品に出会えたことを、幸せに思う。
この気持ちを小瓶に閉じ込めたくてたまらない。

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