一行目の台詞からこの物語の持つ美しい空気感に強く惹き込まれ、その高すぎる文章力と描写力、緻密に描かれた二人の関係性に陶酔してしまいました。
手触りのよい文章が静かに心の底に落ちていくような感覚、それが本当に心地よかったです。
ラストシーンまで一貫して作品に流れる仄暗い雰囲気、綺麗な比喩、物語の構成など、全てがあまりに美しく何度も息を呑みました。
感性に訴えかけてくるような切実な文章の数々に、いつまでも触れていたいと思わずにはいられませんでした。また、この美しい物語を紙の書籍で読んでみたい、とも感じました。
クレーの絵を見ると泣きたくなる、という彼女のように、私はこの作品に触れると泣きたくなります。美しい作品を本当にありがとうございました。