出会いと別れの糸がいま、繋がりちぎれて新たな世界

カクヨム甲子園2022 ロングストーリー部門
大賞おめでとうございます。


青春の一つの形かもしれない。
こういう恋愛も面白い。

作品全体に仄暗さを感じる。
冬特有の暗さと書き出しのシラクサのセリフのせいもある。
「しんしんと」「花が散るように」など、冬を連想させるものや、覇気を感じる表現を意図的に避けているような気もする。
また、一年美術室に通ったとあるけど、本作では冬ばかり描かれている。

ラストのハッピーエンドを迎えるために、全体をほの暗くして、最後にぽっと明るくする演出だろう。
おかげで、長く辛い冬を抜けて春の暖かさにほっと胸をなでおろす。
そんな読後感を覚える。