どこへ行ったのだろう愛した時間は。色褪せていく黄昏の中、一人立ち尽くす

好きだった記憶や思い出、時間を、比喩的にファンタジー要素を用いて表現しているところが素敵。

ヨシダくんを土手でみつけた時の様子、風景描写が実に良い。

ヨシダ君が「君はどの時間が好き?」と聞いたのは、主人公が好きな時間を盗んでプレゼントしようと思ったのかもしれない。
あるいは、好きな時間だけは盗まないようにしようと思ったからなのか。


主人公が、彼を蔑ろにしてきた周りの人たちを恨む気持ちはわかる。
でも、盗んだ彼を強く恨む理由はなんだろう。
彼と過ごした時間が消えてしまうということは、二人で過ごしてきたそれまでの時間も消えてしまうことを意味している。
彼のことが好きだったから、元に戻したのだろう。
「ただの記憶の欠片にしてしまった」みんなは彼のことをやがて忘れ、主人公だけが覚えている。

黄昏をまるごと盗んでいなくなったヨシダ君はどこへ行ったのだろう。

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