概要
フランス革命、ナポレオン、王政復古、百日天下……そしてフランスは再びブルボン朝の「王国」に戻った。されど、革命の爪痕は残る。その最たるもののひとつが、ルイ17世(ルイ・シャルル)の死である。父・ルイ16世、母・マリーアントワネットの刑死後に、「犯罪」ともたとえられる扱いを受け、死んでしまった少年王・ルイ17世。
一方、ルイ17世の姉、マリー・テレーズは百日天下後まで生き抜いていた。今、テュイルリー宮にあって、彼女は廷臣・シャトーブリアンに命じる。
弟・ルイ17世の死の真相を調べよ、と。
シャトーブリアンはその意を酌み、革命当時から生き延びた警察卿、ジョゼフ・フーシェとの接触を持とうとするが……。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!マリー・テレーズはその真実に何を思ったか
絶対王政を瓦解させたフランス革命は現在でも、肯定的な評価がまま先に立つこともありますが、反面、有名無実の裁判による死刑判決や内ゲバ闘争による政治の遅滞など、その血生臭さとともに混乱と無秩序、背徳のるつぼでもありました。
その背徳の最たるものの一つが、マリー・アントワネットの息子、ルイ十七世へ施された仕打ちでしょう。
そして、本作物語を動機づけたマリー・テレーズもまた、弟ルイと同じく、タンプル棟に捕らわれた一人。じめじめと黴臭く不衛生な牢獄で、彼女は同じく虜となっている弟をどれほど想ったことでしょう。
この世のあらゆる背徳を背負わされたルイは死に、マリー・テレーズは生きて牢獄を出て、叔父である…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ある少年の死、そして陰謀の真の天才と呼ばれた男の顔
フランス革命、百日天下。激動の時代が過ぎ去ったフランスにて、かつての王の娘マリー・テレーズは弟の死の真相を求めるべく、とある人物と接触を試みます。
その人物こそ、陰謀の真の天才と評されたジョゼフ・フーシェ。
オートラント公爵、警察大臣であった彼は、後の歴史に冷徹な人物であったと伝えられています。または変節漢とも揶揄されたジョゼフ・フーシェ。かの王女マリー・テレーズが席を蹴ってまで同席を拒んだ男。
今作品では、悲劇の王子ルイ17世の死の真相を追いつつ、ジョゼフ・フーシェという男にもしっかりと触れています。
はたして、かの変節漢はどのような人物であったのか。ぜひ、この作品に触れてその目で真実…続きを読む - ★★★ Excellent!!!冷淡な変節警察卿と退廃に沈められた無垢なる少年王、その死の行方は?
1789年、フランス。有名な革命でギロチンに沈んだルイ十六世とマリー・アントワネット。
この二人を両親に持つその少年は、時代の奔流と周囲の大人の思惑に翻弄され、異常な環境に沈められて育ち、命を散らした。
そんな無垢なる男の子、幼くして命を落とした子の死を悼むのは、生き残った姉である女傑マリー・テレーズ。
彼女は、その不幸な弟の死の真相を知るべく資料を探していた。
そんなマリーの前に立ちはだかるのは、歴史的変節漢として名高いジョセフ・フーシェ警察卿。
その対決は周囲を巻き込み、悲惨な疑惑は形を変え、それは意外な形をなり皆の前に提示される。
その悲しむべき死。
十にも満たない齢の少年がその死の…続きを読む