悲劇のルイ17世と、ジョゼフ・フーシェに捧げる傑作

人間の剥き出しの残虐性とルイ17世の過酷な運命には涙せずにはいられなかった。

そして、本作の裏の主人公は、ジョゼフ・フーシェである。岩波文庫でツワイクによる彼の伝記を読んで以来非常に気になっている政治家だ。変節漢と言われながらも、警察のトップとして革命、帝政、王政復古の荒波の中を泳ぎ切った男。どうしても嫌いになれない。

本作のフーシェも実に良い味を出している。変節漢と罵られながら甘んじてそれを受け入れ、なおかつ人間として大切なことを最後まで守り通した漢として。ある意味間接的にルイ17世に変わって復讐を成し遂げてブルボン朝に幕を引かせたともいえる。

絶対オススメの傑作。

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