第13話 幼馴染+αと混浴することに!?(後編)
…それから。俺は渚の分の課題を人生最大レベルの集中力で終わらせていた。
一問、十問、百問と、どんどんと問題の数は少なくなっていき…
十二時十五分前ぐらいだろうか、俺たちは課題をやり遂げることに成功した。
渚も最初はなんだかんだ言っていたものの、先に課題を終わらせたかったのか協力して課題を勧めてくれた。
…課題を全て終わらせた俺は2人にこう切り出した。
「っで、混浴の話はどうなったんだ?」
それに反応したのはやはり渚だった。
「無理よ!そんなの!」
まぁ当然と言えば当然の反応だろう。
…だが、今の俺はそんなことは関係ない…!
「でも俺は課題を終わらせてやっただろ?お前一人でやってたら一体何日かかってたんだろうなぁ」
皮肉マシマシの声で言ってみる。
すると横から傍観していた未来が口を出してくる。
「じゃあ私とはいる?」
…思わず吹き出してしまう。
「なんでお前が…もしかして変態だったのか…?」
すると未来は顔を真っ赤にしながら…
「違うよ!可哀想だったから同情して煽ってあげたの!」
結局煽られただけかよ…
「まぁ疲れたし俺はもう寝るわ」
…と、俺はこのなんとも言えない気持ちと戦うため、就寝するのだった…
「おやすみ!早く寝なよ!」
「…おやすみ、翔」
…という、少し不機嫌そうな未来の声と少し申し訳なさそうな渚の声を最後に、俺の意識は夢の中へと落ちていくのだった…
―俺は、夢を見ていた。
もう、二度と見ることはないと思っていたのに。
この夢の事はもう、解決したはずじゃなかったのか?
どうなってんだよ…
俺はもう、大切な人は失わないって決めたのに。それなのに、なんで…!
いや、深く考えるのはよそう。
今、俺がやるべきことは少しでも多く、周りの人間を幸せにすることだ。
―そう思うと、どこか救われるような気がした。
そうして俺は夢から醒めて…
あんな夢を見たのは久々だった。
もう二度と見ないと思っていたけど。
俺の心に迷いがあるのだろうか。
いや…
もういい。
とりあえず今は汗だらけだし風呂にでも入るとしよう。
バタバタしてたから結局満喫できてないしな。誰もいないしいい機会かもしれない。
―風呂場にて。
服を脱ぐ瞬間、少しだけ体が重いような気がした。疲れているのだろうか。
まぁ風呂に入って忘れよう…
そう思い俺が風呂場のドアを開けると…
「な、なんでこんな時間に翔がお風呂に来るの!?」
「いや、それはこっちのセリフなんだが…」
…と、冷静にツッコンで見たものの、この状況、だいぶマズくないか…?
「ちなみにだけど、翔、タオル巻いてたり…」
「しないな、なんで1人だと思ってるのにタオルなんて巻いてくるんだ」
「それは私もだけどさぁ…」
「と、とりあえず、こっち見ないでね!」
…と、そんな声の後にシャワーの音が聞こえる。
先に出て言ってくれるみたいだ。まぁとりあえず安心…なのだろうか。
「じゃあ俺は後ろ向いて風呂はいっとくぞ」
っと、俺はそう言って疲れを癒すため、風呂に入るのだった。
シャワーの音が止み、ドアを開ける音がした後、未来の声がした。
「もういいよ!ごめんね翔」
「いや、これに関してはお互い様というか…どっちかと言うと俺が悪いから気にすんな」
…なんで俺はお風呂の電気が点いていることに違和感を感じなかったのだろうか…
まぁ、そんな疲れも今ここでとることにしよう…そう考えた俺が、先程味わえなかった数種類の風呂を回ろうとしていた時…
…突然、風呂場のドアが開く音がした。
思わずそちらに目を向けると、そこに居たのは…タオルを巻いた未来だった。
「ちょちょ、お前なんて格好してんだよ!」
「見えてないでしょ?別に何も」
そう言って俺と少し離れたところに入ってくる未来。
「そりゃあ見えてないけどさ…」
落ち着け…落ち着くんだ津崎翔。
ここでもし邪なことを考えて反応してしまったが最期、俺の人生は終わってしまう。
そうして俺が冷静になるために羊を数え出したその時…
「翔がさ、何を考えてるのかはわかんないけど今の翔、すごーく疲れてそうな顔してるよ?ちゃんと休めてる?」
…と、急に俺の事情を見透かしたかのようにそんなことを言ってくる未来。
「…バレてたか」
「そりゃあそうに決まってるでしょ?いっつも一緒にいるんだよ?」
「なんなら、さっき課題をやってた時よりも今の方が疲れてるように見えるよ」
―おそらくあの夢のせいだろう。
…だが、俺にはもうあんな記憶は必要ない。
「あぁ、俺はもう大丈夫だ」
「もう?ちょっと気になるけど、翔は強いもんね、私は翔の言葉を信じるよ」
そう言って、未来は少しづつ俺の方に距離を縮めてきて…
そうして、俺の事を優しく抱きしめた。
「な、なんで…」
「なんでだろうね〜?でも、翔、強がるのもいいけどちゃんと休むんだよ?」
そう言って、俺の事を離す未来。
「…あんまり思わせぶりなことはするなよ?今の自分の格好分かって…」
俺がそんな言葉を最後まで発するより先に、未来はこう言った。
「わかってるよ、わかった上で私はやってるの!」
「なんで俺なんかのためにそこまで…」
(…私は、翔の事が大好きだから)
「…?何か言ったか?」
「いーや、なんでもないよ?」
「ならいいけどさ…」
「じゃあ、ゆっくり休むんだよ?そのままじゃ渚にも心配されちゃうよ?」
…と、そう言い残して未来は風呂から去っていくのだった。
風呂から上がり、もう一度ベッドで横になっていた俺は、
「そういやあいつ、なんで風呂になんていたんだろうな…」
っと、そんなことを思いはしたものの、夢のことなんて忘れて、心を休められるいい時間になったのかもしれない。
そう思うと、未来にはまたちゃんと感謝しないとな…
…そんなことを考えながら、俺の意識はまた夢の世界へと落ちていくのだった…
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