第14話 幼馴染+αと混浴することに!?(未来視点)

今日はとても楽しかった。

朝、二人を誘った瞬間から楽しみで仕方なかった。

…まぁ、二人の学力には少しびっくりもしたけど…二人とも真面目じゃないわけじゃないのだ。スムーズに進むところも多かったし苦ではなかった。

ご飯も…お風呂も、渚と、翔と、一緒に食べるだけで何倍も美味しく感じた。

これは…私が自分の気持ちを自覚したからなのだろうか。


…そんなことを考えていたら、いつの間にか深夜になっていた。

日が変わる前には布団に入ったのにな…

どうにも、寝着けそうになかったので、私はお風呂にでも入ることにした。


…自慢じゃないが、私の家はなかなかのお金持ちなので、お風呂であったり、ご飯であったり、そういったものはとてもいいものを使えているような気がする。

「ふぅ…やっぱりお風呂は最高だね」

今私が入っているのはジャグジーの着いたお風呂。

健康にもいい成分が入ってるとかで、入れば入るだけ綺麗になっていくような感覚がある。

…そういえば、成り行きで渚と翔に混浴させるようなことを言ったけど、結局二人は入るのかな…いや、さすがに幼馴染とはいえそんなことないよね…?

…なんて言ったって、私が誘っても断ったんだもん、渚の誘いにだけ乗るなんてこと…

あるのかもしれない。

そう考えると少し胸が苦しくなる。二人とも好きだからこそ、この気持ちにどう応えればいいのか分からなくなる。

ただ、ひとつ確かなのは…

「渚に翔を独り占めされたくないな…」

―そんな事を言っていた時、お風呂場のドアが開く音がした。

…入ってくる可能性があるのは渚か翔。

さっきはあんなことを言っていたけど、いざ一緒に入るとなると恥ずかしいし渚でありますように…

そう祈ったけど…

「なんで翔がこんな時間にお風呂に来るのよ!」

入ってきたのは翔だった。

さすがに体を見られるのは恥ずかしいし見るのも少し抵抗がある。

「翔、タオルとか巻いてたり…」

「しないな、なんで一人だと思ってたのに巻いてくるんだ」

…神は私たちを見捨てたらしい。

…とりあえず、翔が紳士であることを祈って…!先に出ることにする。

脱衣所にて、私の頭にはまだ翔を独り占めされたくないという考えがよぎっていた。

今は絶好のチャンスだけど…私だけズルしてるみたいじゃないかな…

いやでも…今は渚の方が心理的にも物理的にも距離は近いし…

何かインパクトは必要だよね…

私はそう考えて…



「ちょちょ、お前どんな格好してんだよ!」

「別に、何も見えてないでしょ?」

私は…少しだけズルをすることにした。

なんて言ったって、あっちの方が時間が長いのだ。

少しぐらいズルしても構わないだろう。

…まぁ、恥ずかしすぎて何も分からないんだけど。

そんなことを思いながら私が何となく翔の顔を眺めていると…

…何か、翔の顔に違和感を感じた。

いつもより疲れているような…

「今の翔、すごーく疲れてそうな顔してるよ?ちゃんと休めてる?」

…思わず、そう口に出してしまっていた。

「…バレてたか」

「そりゃあそうに決まってるでしょ?いっつも一緒にいるんだよ?」

…一緒にいるだけじゃない。自覚してなかっただけで、私はきっと、ずっと翔を見ていたんだ。

「なんなら、さっき課題をやってた時よりも今の方が疲れてるように見えるよ」

「あぁ、俺はもう大丈夫だ」

「もう?ちょっと気になるけど、翔は強いもんね、私は翔の言葉を信じるよ」

…嘘をついているような気がした。たけど、その嘘はきっと私のためを思ってのもので…

今の私には、まだ教えてくれないのだろう。

…もしかしたら渚になら話すのだろうか。

そんなことを考えると、何故か私まで辛い気持ちになってきて…

何があったかは分からないけど、少しでも翔の心を癒してあげたい。

…そう思った時、私の体はもう既に動いていた。

「な、なんで…」

「なんでだろうね〜?でも、翔、強がるのもいいけどちゃんと休むんだよ?」

「…あんまり思わせぶりなことはするなよ?今の自分の格好分かって…」

…鈍感な男だ。思わせぶりなんかじゃないのに。まぁ、今はそれでいいのだ。

いつか、翔のことを振り向かせるために。

「わかってるよ、わかった上で私はやってるの!」

「なんで俺なんかのためにそこまで…」

…何で私がこんなことをしたかって?そんなの、答えは決まっている。

「…私は、翔の事が大好きだから」

「…?何か言ったか?」

…危ない。つい声に出てしまっていたみたいだ。

「いーや、なんでもないよ?」

「ならいいけどさ…」

今日、私はズルをした。でも、後悔はしていない。

…絶対!私が翔を振り向かせるんだから!

「じゃあ、ゆっくり休むんだよ?そのままじゃ渚にも心配されちゃうよ?」

そう言い残して、私はお風呂場を出ていくのだった。







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