第11話 お金持ちの家はスケールが違う
未来の家(もはや屋敷)にお邪魔してから数時間、俺たちは勉強に一区切りをつけ、ご飯を食べようとするところだった。
…そういえば、何も考えてなかったけどご飯どこで食べようかな…
「渚、未来、俺適当なところでご飯買ってくるわ、渚も行くか?」
渚だって礼儀が無いわけじゃない。俺と同じようなことで困っていただろう。
「そうね、私も行こうかしら」
…と、俺たちふたりが食料調達のために外に出ていこうとすると…
「何言ってるの?2人とも」
…と、そんな未来の声が背後から聞こえる。
「いや、未来がご飯食べてる間に俺らも飯食おうと思って…」
「いや、一緒に食べるに決まってるでしょ?なんのためのお泊まり会なのよ」
…マジか、なんか申し訳ないし、そもそもとして俺らの舌に会うようなご飯はあるのだろうか。
…そんなことを考えていると、恐らく食卓であろう部屋の方からいい匂いがしてきた。
…どこか庶民的で、それなのに豪華さを感じる匂い…これは…なんの料理だ?
「本場から取り寄せたスパイスカレーよ!」
―と、そんなことを未来なら言われ、ご飯に対する不安の気持ちなんてものは無くなり、むしろ期待の気持ちで一杯な俺だった。
夕食後、俺たちはまた勉強に取り組んでいた。まぁ、さっきから勉強勉強と言っていたが実際はただの提出用課題なのだが。
「にしても、未来の家のカレーめっちゃ美味かったな」
「でしょ?わざわざ今日のメニュー帰ってもらったんだから」
「ちょっと辛かったけどね…」
と、甘い飲み物を飲みながら渚が口を開く。
…まぁたしかに、本場のカレーということで少しこいつのようなお子ちゃまな舌には合わなかったかもな。
「な、何よその目!翔だって辛いからって甘口にしてもらったくせに!」
黙ってくれ。その話は無しだ。
「まぁ渚はそれでもなお辛いからって残してたけどな」
なんとも失礼なやつである。人様の家で出された料理を残すなんてな。
「それに関しては…ほんとに申し訳ないとしか言いようがないわね」
「まぁまぁ、私が気にしてないんだから大丈夫だよ」
…と、未来がそんなフォローを入れてくれる。
…にしても、こいつほんとに金持ちの娘だったんだな…あまりにもいい意味で庶民的すぎて忘れていた。
「勉強もいいけどさ、ご飯も食べたんだしお風呂入らない?」
「確かに先に風呂に入っておくのはいいかもな」
ご飯があれだけのレベルだったのだ。
風呂にも期待していいと考えるべきであろう。
「あ、ちなみにうちの大浴場、混浴だから、そこのとこよろしくね〜」
…と、そんな未来の言葉に俺は
「…は?」
…と、情けない声を漏らすのだった。
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