第26話 体育祭本番(2/3)

午後の種目は全部で8種目。

うちの学校は中等部と高等部が合同なのは前にも話したと思うが、学年ごとに行うクラス対抗の種目などもあったりするため、種目数、かかる時間ともに多くなってしまうのだ。


今、うちの学年が行っているのはクラスから4人、タイムの早い人を選抜して行う男女別の選抜リレーだ。


もちろん、未来は出場している。


未来ってあんなに運動得意だったか?

正直運動神経が悪いというイメージもないものの、特段運動が得意だという印象も俺は持っていなかったのだが…


まぁ、今現に結果を残せているのならばその印象は改めないといけないのだろう。


…ちなみに、これはあとから聞いた話なのだが、未来は体育祭の為だけに屋敷に1部屋トレーニングルームを作って1日に何時間も練習を行っていたのだとか。


体育祭のためにそこまで頑張れるのは未来のいいところだろうな。


そんな未来の頑張りに俺なりに応えるべく、俺も声援を飛ばす。


「がんばれ〜!」


そこでアンカーの未来にバトンが渡る。


現在の位置は1位とは数メートルの差がついた2位。

正直、普通に走るだけでは到底追いつけない距離、アンカーという条件もあるため到底追いつけない速さである。


…だが、そんな俺のちっぽけな予想なんて超えてくるぐらい、未来は速かった。


最初は3メートルほどあった距離も徐々に縮まっていき…

ゴールまで残り15メートル程。


1位との距離はもう30センチほどに迫っていて―。


観客の声援も1番盛りあがったその瞬間―



―未来は転んでしまった。

転ぶだけなら良いが、起き上がれないぐらい派手に転んでしまったように俺には見えた。


恐らく未来と同じクラスであろう女子が数人、悲鳴をあげながら未来の方へと近づいていく。


それから数分後、未来は保健室へと運ばれて行ってしまった。


残された会場に漂うなんとも言えない雰囲気。

特に、未来の活躍によってリードを保っていた赤組はより一層、悲しみが大きいようだった。


正直、俺は勝敗なんてどうでもいいと考えてしまう人間だ。

なんなら、関係の薄い人物であれば、心配なんかよりも自分のことが上に来てしまう、そんな最低な人間だ。


だけど、いや、だからこそなのかもしれない。

俺はこの自分のチームの勝敗、ということに囚われている、周りの奴らに腹が立ってしまった。


「お前ら、未来の心配は二の次かよ」


思わず、そう俺は怒鳴りつけてしまうのだった。

そうして俺が、テントを抜け出し未来の心配をしに行っているその時だった。


「翔、あんたも保健室に行くのね」

「ああ、心配だからな」

「思わず、クラスのやつらに八つ当たりしちまったな…」

「仕方ないわよ、私だって口にはしてないけどムカついて仕方なかったわ」


どうやら、渚も同じ思考だったらしい。


俺はいい友達…いや、幼馴染を持ったものだ。


そうして俺達は、保健室へと向かうのだった。


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