第19話 遊園地三角関係(3/3)
そうして昼ごはんを食べ終えた俺達3人だったのだが…
「ここと言えばホラーだろ!」
「いーや!あの大きいのに乗る!」
「午前中に沢山巡ったしゆったりしてるの乗りましょうよ!」
何故か喧嘩をすることになっていた…。
まぁ喧嘩と言ってもそんなに重いものでは無いのだが。
3人全員の乗りたいアトラクションが違ったのだ。
俺はこの遊園地で有名なアトラクションであるホラー脱出ゲーム。
未来はこれもまたこの遊園地で有名な絶叫系アトラクション。
渚はゆったりしたアトラクションに乗りたいとかでコーヒーカップを希望している。
まぁ正直みんなどれでも楽しめるだろうが…午前はみんなで回ったし個人で回るのもありかもな…と思ったので、二人に別行動を提案してみる。
「別行動なんてどうだ?みんな乗りたいもの違うし後で集合ってことで!」
「別行動かぁ…まぁたしかに面白いかもね!」
「ま、まぁ二人がそう言うならそれでいいかもしれないわね」
…ということで、別行動をすることになった。とりあえずここの遊園地名物のホラーアトラクション、行くか!
――――――――――――――――――――
昼ご飯の後、何故か私たちは別行動することになっていた。
…まぁ、みんな乗りたいアトラクションが違ったからしょうがないか〜。
…ただ、ひとつ不安なのはこういう場所をひとりで歩くなんてしたことがないから迷子になりそうってこと…。
地図ってどう読むんだっけ?
パンフレットと悪戦苦闘しながら、私は目的のアトラクションへと向かう…。
向かうだけですごい時間かかりそう…
――――――――――――――――――――
昼食後、私達は3人それぞれの希望するアトラクションへと足を進めていた。
理由は簡単で、私たち3人の乗りたいアトラクションが違ったから。
私が希望していたのはコーヒーカップだったのだけど、これには1つ理由があった。
正直、アトラクションなんてなんでもいいと思っている私だが、一応楽しそうなアトラクションを探そうと思ってパンフレットを見ていた時のこと…
私の目はとある1つのアトラクションの説明に釘付けになっていた。
"コーヒーカップ"恋人、好きな人と乗るといい雰囲気に。
という簡単な一文。
…正直、こんな言葉に騙される自分が少し情けないけれど、正直心がウキウキしているような気がしてた。
翔と一緒に乗りたかったなぁ…
――――――――――――――――――――
ホラーアトラクションを思う存分満喫した俺だが、やはり先程から気になっていることがある。
…どうも後ろから視線を感じる。
「なんか後ろにいる気がするんだけどなぁ」
まぁ相手から出てきてくれないとどうしようもないので、どうしようもないのだが…。
正直素直にアトラクションが楽しめない!
二人は今頃、二、三個はアトラクション楽しんでるんだろうなぁ…
――――――――――――――――――――
…私は今、どこにいるのでしょうか…?
迷子になりました…
これは…俗に言う迷子のお客様放送案件なのだろうか…。
二人に迷惑はかけたくないし…
どうにかしてあの目の前のジェットコースターまで行けたらいいんだけど…
ん?目の前?
やった…!何でかわかんないけど気づいたからジェットコースターに辿り着いてる!
「良かったぁ…2人に迷惑かけないですんで…」
…そうして私はようやく、乗りたかったアトラクションに乗ることが出来るのだった。
…もう2人は3つぐらいアトラクション楽しんでるんだろうなぁ…
――――――――――――――――――――
別行動を開始してから1時間ほど経過しただろうか。
私は未だに1つのアトラクションに乗れないでいた。
私は普段、あまり外で遊ばないため、もう正直十分だと思ってしまう。
…午前中で遊び尽くしてしまった感が否めない…
どうせなら奥の方のお土産コーナー見たいなところで買い物でもしてこようかな…
二人は今頃、何をしているんだろうか。
――――――――――――――――――――
あれから30分ほど、園内をずっとブラブラと歩いているのだが、やっぱり誰かが後ろから着いてきている。
…そろそろアトラクション楽しむ時間も無くなってきてるし、犯人を突き止めることにするか。
…そう考えた俺はおもむろに逆走し…
その物陰に隠れていた少女を見つけた。
「お、お前は…」
「やだなぁ先輩、こんなに可愛い後輩のこと、忘れちゃったんですかぁ?」
「ほんとに誰だ?」
「私ですよ、わ、た、し!」
「いや、名前を聞いてるんだが…」
「あーもう!なんでわかってくれないかなぁ…私ですよ!佐倉寧々ですよ!」
「え…、お前が寧々…だって?」
「そうです!私にも色々とあったんですよ」
この生意気な少女は佐倉寧々、昔、この少女にはたくさんのことで救われ、逆に俺がこの少女を救ったこともあった。
…だが、俺の記憶の中の寧々はこんなに明るくなかったし、こんなに派手な格好もしてなかったような気がするが…
「まぁ一旦百歩譲ってお前が寧々なのはいいとしてだ、なんで俺の事をストーカーなんてしてたんだ?」
「あ、まだ私のこと信用してくれてないんですか?」
「まぁな、久々に再開する友達が大幅にイメチェンしてたら気づけないだろ?」
「じゃあ〜、どうせ先輩が例の幼馴染さんにも言ってない秘密、私は知ってるって言ったらどうしますか?」
「ほう?ぜひ言って見てほしいものだな」
「先輩、〜〜〜〜〜ですよね?」
あぁ、わかってしまった。
この少女は本当に佐倉寧々なのだと。
嬉しさと同時に、なぜだか悲しいような気持ちになる。
久々の再会で、悪いことなんてひとつもないであろうに。
「…わかった、認めるよ。お前は正真正銘、本物の佐倉寧々だ」
「いや、にしても、なんでストーカーなんてしてたんだよ!」
「えへへ〜、それはまた今度ってことで 」
まだいいたく無いような事情があるのだろうか。
「教えてくれないのかよ…、まぁいい、どうせなら寧々も一緒にアトラクション行くか?」
「ええ、私も行っていいんですか?ぜひ行かせてもらいます!」
…そうして俺たち2人は、まだ乗っていないアトラクションを片っ端から制覇していくのだった。
――――――――――――――――――――
迷子になっちゃった…。
…しかも今度はさっきまでと違って洒落にならない迷い方をしているような気がする…。
あまりにも今まで見た景色と違うんだけど!?
「はぁ…さすがにサポートセンターみたいなところ行こうかな」
そんなことを考えていた私なのだが…
よく考えたらサポートセンターにすら私行けないのでは…?
「ヤバいじゃんこれ!!」
「どうにかして知ってる景色のところまで行かないと…」
と、私がそんなことを考えていると…
「〜〜〜未来?〜〜〜」
…と、遠くの方から私のことを呼ぶ声が聞こえたような気がする。
一体誰の声なんだろう?
「未来!ここにいたのね!」
「渚!良かったぁ〜〜〜!」
なんと渚だった。
「このままだったら迷子になってたよ〜〜」
「一体何があったのよ…」
そうして、私たちは約束の場所へと向かうのだった。
――――――――――――――――――――
買い物を終えて。
私は先程とは違う満足した気分で約束の場所へと向かっていた。
「正直この遊園地広すぎてどこで迷ってもおかしくないわよね…」
…未来は絶対に迷うだろうな…
そんなことを考えていると、見覚えのある背中が奥の方で見えた気がした。
「あれ未来の着てた服じゃなかったっけ…?なんであっちのアトラクションがない方に向かって行ってるんだろう…?」
少し疑問に思いながらも、私はその背中を追いかけることにした。
「はぁ…やっと追いついた…」
人が多すぎるため、正直この思うように動くのでさえ精一杯だ。
…そして謎の人影の正体とは…
「やっぱり未来だった…」
「未来〜!」
一応声をかけてみる。
正直距離が大分遠いから聞こえないかもしれない…
一応声が届いたのだろうか、未来は足を止めてくれたみたいだ。
もっと近づかないと…
「未来!」
私がそう声をかけると…
「渚!良かったぁ〜〜〜〜!」
…やっぱり迷子になってたみたいだ。
「このままだと迷子になってたよ〜」
「一体何があったのよ…」
何はともかく、なんとか時間内に約束の場所に間に合いそうだ。
未来も迷子にならないで済んだし。
「じゃあ、約束の場所に行きましょうか」
そうして私たちは、約束の場所へと向かって行くのだった…。
――――――――――――――――――――
あれから少し経ってから。
俺達は何故か全力疾走していた…。
こんなことになった原因はこの遊園地が広すぎることにある。
俺達は約束の場所から逆方向に向かってアトラクションを回っていたのだが、そうすると最後のアトラクションに乗った後に園内なのに何故か1キロほど走ることに…
「絶対に乗るアトラクション1つ減らすべきだった…」
「先輩があれも乗りたい!これも乗りたい!って言うからですよ〜?」
「いや言ってたのはお前なんだよなぁ…」
そんな話をしながらも、全力で目的地を目指していると…
「お、あれ未来と渚じゃないか?」
未来迷わなかったんだな…
正直絶対に迷子になってると思ってたぞ…
…そこで俺は、ひとつの事に気がついた。
「お前のことどうやって説明すればいいんだ?」
「ん〜なんて言えばいいですかね」
「やっぱそうなるよな…」
「まぁ先輩のことを誰よりも知ってる可愛い後輩ってことで!」
「自意識過剰過ぎないか?」
…まぁ正直、特に言うこともないからそれでも別にいいのだが。
そんなことを考えているうちに目的地に辿り着いてしまって…
「すまねぇ、あまりに広すぎてちょっと遅れたわ」
「あぁ、そんなに遅れてないし大丈夫よ」
「うん、それは大丈夫だけど…」
「「その子は誰なの?」」
何か圧を感じる…
俺がどう説明しようかと少し考えていた時…
「あ、私は先輩のカノジョで〜す」
「「え?」」
爆弾投下しやがったこいつ!
「嘘だからな?信じるなよ?」
「ま、まぁさすがにそんなのわかってたけどね?」
「な、なるほどね?面白い冗談を言う子なのね」
…なんとか誤解は解けたみたいだ。
「ふ〜ん、色々わかっちゃった〜♪」
「それにしても、やっぱり鈍感なんだなぁ…先輩」
「なんか呼んだか?寧々」
「あ、何も言ってないですよ〜」
…?
なんだか悪口を言われたような気がしたんだけどな…
まぁいいか、後は家に帰るだけだ。
「そろそろ暗くなってきたし帰りましょうか」
「そうだね〜、もうお腹ペコペコだよ〜」
「そうだな、じゃあ寧々、俺達は帰るから」
そう言って寧々と別れようとすると…
「あ、ちなみに私こないだ先輩たちの家の近くに引っ越してきたので!」
「明日から中等部に通うのでよろしくお願いしますね〜」
「「「えぇ!?」」」
来週から、俺の日常はさらに騒がしくなりそうだ…
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