すごーく、時間をかけてゆっくり拝読させて頂きました。それでも作中の登場人物が 一人一人が輝いていて、何ヶ月経った後に続きを読んでも色褪せないのです😌
前半から惹き込まれるものがありましたが、中盤から後半にかけては特に面白かったです。続きが気になってしょうがない展開が続きますッ。
青春✖️ホラー✖️恋愛……現在と過去が交差する要素があるのですが、そこが良いのです!
タグもしっかり注目されたし✨なのですが、「同性愛」要素は、男性の方でも嫌悪感なく読める流れになっています。
ヒニヨルはそのタグに気がつかずに読んでおりましたので、「え、え、そういう事なの?」と途中慌てましたが、とてもスッキリと楽しめました。
見どころは沢山あって、前半の「小野先生」の実験シーン。描写も詳しくて、それでいて分かりやすいのです。こんな高校の先生がいたら楽しく勉強できただろうなぁ……。
お料理のシーン、弓道のシーン……メインストーリーでは無いところも見応えがあって面白いです。
終盤にさしかかるにつれ、「もうすぐ終わってしまうのか」という寂しさを感じる程でした🥺
作者さまの作品は、短編もいくつか拝読していますが、私が思うに、長編が得意な方なのではと感じました。
人物の奥行き、物語の伏線やその回収がとてもお上手です✨
ヒニヨル自身はあまり読書をしない、ただのシュミ書きなのに😂えらそうに語ってしまってスミマセン。
とても素晴らしい作品なので、是非読んでみて下さい‼️
この物語を一言で表すとしたら『ケミストリー』という言葉を選びたい。
意味として化学(反応)や相性、また、協調関係のニュアンスで使われる表現。
学園生活で過ごす青春の場面という日付のページをめくる度、主人公の【﨑里裕佳子】の成長を含め、その意味合いが恋愛だけでなくミステリーとしても次第に色濃くなっていくのだ。
たとえるなら、炎色反応のように様々な色合いで金属片を燃え上がらせるように、生徒の意欲を高まらせ、教育熱として温かい心で迎える化学の先生との関わり合いと成長とがある。
さらには、はじめは疎に撒かれ、点在する人間関係の立ち位置を、まるで有機的な結びつきから不可逆的な化学反応を経て得られた、男女の深い絆と人情のなり行く先まで。
様々なケミストリーを体感しつつも、やがて胸中を埋める時を超えたすれ違う想いに、沸き起こるいかんともしがたい恋情は、絶対に見逃せない。
自分の中に、自分でない自分の記憶が突如として現れる超常的な感覚も、ホラーとミステリーとの親和性のなせる技なのだろう。
謎解き要素も、やがては明らかになっていくその先を、実験的な探究心にも似た衝動が躍動していく面白さがある。
心の中の化学反応は、読後感という退行していく燐光のように、瞼の裏が覚えた熱の記憶として、しばらく止みそうにない。
【 作家は処女作に向けて成熟する 】という言葉があるように、すべての核となるエッセンス――その出発点は、まさしく、この小説に極まれるのではないだろうか。
無料で読めるの!? 無料で読んじゃったけどいいの!? って感じです(笑
めちゃくちゃ面白いです!
読み終わったあと、よく思いつくなぁこんな話……と呟いてしまいました。
主人公裕佳子に思い切り前のめりになって感情移入しながら読みふけりました。
時に応援し、時にハラハラと見守り……。
そもそも自分は、作者さんの短編「ごう、ごうとうなる」を最初に読んだ者です。
それが実はサイドストーリーと知り、本作「イソヒヨドリの町で」を読むに至りました。
フラフラと花の蜜に吸い寄せられるハチのように、作者さんの描く風景に惹かれたのです。
あとから知ったのですが、この作品は「東京創元社×カクヨム 学園ミステリ大賞」の中間選考を突破しているそうです(2024年2月現在)
そのことから、クオリティも推して知るべしでございます。
物語を読んでいる途中、そして読み終わったあと、「イソヒヨドリ」がどんな鳥なのかをググりました。
そして弓道の「射」をYoutubeで見入る自分がいるのでした……。
最初は、「思ってたのと違う」と思いました。
「あれ、今回の学園ミステリ大賞って、『この世に存在しないような特殊能力を扱った作品は対象外』なのでは?これはライバルが1人減ったな…ぐへへ」と、非常に打算的に考えていた次第。
しかしぐいぐい引き込まれる。そして、タグの「同性愛」。読み始めた時にはあまり意識しなかったため、前半の山場で目玉が飛び出るほど驚き、飛び出たまま読み直し、伏線に気付いて「確かにミステリーだ」と納得。そこからはひたすら登場人物に感情移入してしまい、ハラハラドキドキでした。
『この世に存在しないような特殊能力』部分も、どちらかというと心象風景というか、思春期なら誰もがうっすらと持っている感受性の表れのように感じられて、『この世に存在しないけど誰もが持っていたかもしれない、もしかしたら一般的な能力』なのではと今では解釈しています。それゆえに、学園『青春』ミステリなのです。競争相手です。勝てない。困った。
ああ、自分の言葉が足りないのはよくわかっています。乱雑に感想を書いて良いのであればいくらでも書けるのですが、伝わる言葉を書くのは本当に難しいと思います。
この物語を推す上で、あと一つだけ。
この物語が本になるのなら、きっと深い青の背表紙になるんじゃないかな。タイトルとその色だけで胸の痛みを思い出せるような。
そんな物語です。読んでいただきたいです。
そして、最後まで読んで、さらに続編まで読み進めると…その青色はもっと深く、黒色に近付いて行きます…。いやもう本当びっくりします。