十代の繊細な心を見事に表現した作品

母親を事故で亡くした主人公の裕佳子。両親の故郷である九州に引っ越し、転校先で不思議な「袴の彼」と出会います。
「袴の彼」の謎を追っていくなかで、同級生の川野の秘密や「袴の彼」の隠された過去が少しずつ明らかになっていきます。

ミステリー要素も十分に楽しめますが、見どころは主人公の成長だと感じています。
イソヒヨドリが鳴く町で、主人公が少しずつ心を取り戻し、受け入れ、成長していく「青春物語」。それもぜひ、読者の皆様に見届けて頂きたいです。

多くは語れませんが、「ふつう」とはなんだろうか、それを考え教えてくれる素敵な作品です。

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