思ってたのと違った。でもそれが良かった。

最初は、「思ってたのと違う」と思いました。
「あれ、今回の学園ミステリ大賞って、『この世に存在しないような特殊能力を扱った作品は対象外』なのでは?これはライバルが1人減ったな…ぐへへ」と、非常に打算的に考えていた次第。

しかしぐいぐい引き込まれる。そして、タグの「同性愛」。読み始めた時にはあまり意識しなかったため、前半の山場で目玉が飛び出るほど驚き、飛び出たまま読み直し、伏線に気付いて「確かにミステリーだ」と納得。そこからはひたすら登場人物に感情移入してしまい、ハラハラドキドキでした。

『この世に存在しないような特殊能力』部分も、どちらかというと心象風景というか、思春期なら誰もがうっすらと持っている感受性の表れのように感じられて、『この世に存在しないけど誰もが持っていたかもしれない、もしかしたら一般的な能力』なのではと今では解釈しています。それゆえに、学園『青春』ミステリなのです。競争相手です。勝てない。困った。

ああ、自分の言葉が足りないのはよくわかっています。乱雑に感想を書いて良いのであればいくらでも書けるのですが、伝わる言葉を書くのは本当に難しいと思います。

この物語を推す上で、あと一つだけ。
この物語が本になるのなら、きっと深い青の背表紙になるんじゃないかな。タイトルとその色だけで胸の痛みを思い出せるような。
そんな物語です。読んでいただきたいです。

そして、最後まで読んで、さらに続編まで読み進めると…その青色はもっと深く、黒色に近付いて行きます…。いやもう本当びっくりします。

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