特異事件特別捜査対策課～fileⅠ謎の病原体～(仮)

生嶋翔は優秀な刑事である。父のあとを追うように、彼も刑事を目指した。
そして、研究者でありながら法医学者の友人の浦浜秀一とは警察学校の同期。彼は、警察官になったものの研究者への道を歩んでいた。

事件はごく普通の昼間に起こった―――。
事件番に追われ、約一か月ぶりの休日を母と過ごしていた翔。
刑事だった父の命日が迫り、墓参りに向かう途中だった。

母の隣に立ち、彼は環状線のホームで電車が来るのを待っている。と、その時……
どこからか悲鳴が聞こえた。
翔は体を声の方へ向ける。と同時に、足は動き始めていた。

声の発生源に立つ駅員に声を掛けた彼。だが、駅員も周りに立ち尽くす乗客も「突然倒れた」としか話さない。
傍に立つ友人の女性も、何故倒れたのか分かっていない。

女性はかろうじて息をしているも…続きを読む