第13話 He Side

 クリスマス、俺にとってきっと最後になるだろう。

人生最高の思い出になった。


 愛する人と過ごす満ち足りた時間。

愛する人と眠る夜は、一人で眠るよるとまったく違った。

あんなにぐっすり眠った記憶は無いな。

栞奈の温かさと匂いに包まれて幸福の中で眠れた。ずっと続けば良いのにと欲が出てしまう。


 栞奈がくれたピアス、触る度に栞奈を感じ幸せな気持ちにしてくれている。

おかげて眠れない夜が怖く無くなった。


 あの夜、正直、栞奈にもっと触れたかったし、栞奈の全てを俺のものにしたかった。でも、俺は去る人間だ。これ以上彼女に痕跡は残せない。

人生でこれ以上ないほど欲しているのに、それは俺のエゴでしかない。


 発作の感覚が狭まっている、春を迎えることは無理だろう。

神様あと少し、彼女の笑顔を見ることを許して下さい。


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