いざカラオケへ(3)

「「「「「「「「「かんぱーい!」」」」」」」」」


机に並べられたスナックやアイスの上で数えて9つのプラスチック製のグラスが合わさる。ガラスと違いほとんど音は鳴らないがその分大きな声で乾杯を祝う。


それぞれひとしきり飲んだ後改めて自己紹介の流れとなった。


配置としてはコの字型の椅子に男子女子がそれぞれまとまって座っている。自己紹介の提案をしたのは一番端に座っていた男子だ。


名前は高田。自己紹介の時に少し長めに話した奴だ。


「俺は高田秀平だ、忘れてるやつは是非名字だけでも覚えていってくれ。みんなとはたくさん話したいからよろしく!ほい、次!」



そういって高田は柳を指す、柳はすぐに立ち上がり勢いに乗るように言葉を連ねる


「俺は柳雄太だ。柳でも雄太でもどっちでも好きな方で呼んでくれ」


短い一言で座り目線で浜崎に指示を送る


「浜崎だ、部活は一応テニス部に入るつもりだ。もしテニス部に入るつもりがあるなら大歓迎だ。よろしく頼む。」


先ほどの話でテニス部に所属していたのは知っていたが、高校でも部活は続けるらしいい。


まだ自分は入る部活は決めていないためかなり迷う。一応中学ではバスケ部に所属していたが大して上手い訳でもなかった。


高校でも続けてもいいとは思うが生憎と中学が同じ人はおらず、中学とでは学区がかなり離れているため、見知っている顔もいるわけではないだろう。


そう考えると初心者でまた始めるのも良いのではないだろうか?幸いスポーツに関する飲み込みは良いほうなので中途半端に足を引っ張ることはないと思いたい。


明日の予定は教科書販売に部活動見学のため渡りに船だ、浜崎たちを誘って巡るのも悪くない


浜崎の目線を感じ自分に順番が回ってきたことに気づく


「名前は八葉幸司、こっちも八葉でも幸司でも呼び方は好きにしてくれ。中学からの友達が高校にはいないから仲良くしてください、あと結構外出するのが好きだからたくさん誘ってくれると嬉しいな、よろしく!」


少し長文になってしまったが伝えたいことは伝えられたので満足している。


次は百瀬が立ち上がる


「俺は百瀬翼だ、少し口調が堅いのは習性だと思ってくれ。よろしく頼む」


どうやら口調が堅いのはデフォルトらしい、遠慮していた訳ではないとわかったのでひとまずは安心だ。誘ったのは別とはいえできるかぎり楽しんでもらいたい


これで男子の大雑把な自己紹介は終わったので次は女子だ


最初は自分に最初に話しかけてくれた子だ


「私は斎藤葉月!よろしくね!」


斎藤はかなり元気な言動をしている。とはいえ運動部的な感じではなく性格が勝気なイメージだ。


次はフォトスタを最初に交換した子だ


「私は中山恵麻、まだ会ったばかりですけどよろしくお願いします」


中山は大人しめのイメージだ。しかしフォトスタの交換を積極的に持ち掛けたあたりそういうわけでもないだろう、そこから先を知るにしても焦らず一年間でじっくり知っていけばいい。


最後の三人組のひとりだ


「名前は三橋玲奈です、これから一年間よろしくお願いします。」


三橋はクールなイメージだ、挨拶はそれぞれ最低限だが斎藤が二人の間を取り持っている感じはするが自分の偏見であるため全くわからない


そして最後は追加の一人だ、教室から来た時からわかっていたがかなりの美人さんだ。系統としては正統派な清楚系にカテゴライズされる感じで綺麗な黒髪を丁寧に編んでいる。


「野倉篠羽といいます、これから一年間よろしくお願いしますね」


最後の一人の紹介が終わり、もう一度飲み物で口を濡らすとメインのカラオケに入る


トップバッターは高田だ、やはり物怖じをあまりしない性格らしい


とはいえよくカラオケに行くのか、ピックアップした曲はかなり有名な曲でありカラオケの鉄板となりつつある曲だ。


たまに音程をはずすものの振り幅は小さく歌い慣れていた


結果は87点、大台には乗らなかったものの最初に歌うにしては上出来すぎるスコアだ。


採点が終わると拍手が起こる


「高田やっぱりすげーな!」


「へへ、ありがと。足繫く通ったかいがあったぜ。」


「柳、高田と随分打ち解けてるな」


「そりゃあ中学が同じだったからな、よく遊びに誘われてカラオケ行ってたんだ」


どうやら同じ中学だったようだ、さらに話を聞いていくと高田はかなりのアウトドアだが勉強が苦手だったらしく、この高校に来るにも随分と苦労したそうな。その過程で高田と柳の親密度はかなり上がったらしい。


「ほれ、八葉。つぎどうぞ」


「まかしとき!」


「八葉くん頑張れー!」


高田からマイクを受け取り、斎藤からは声援を受ける。


リクエストしたのは最近注目のアーティストの最新曲だ、みんな知っているのか随分と乗ってくれている。


こうして高校初めてのカラオケは順調に進んでいった








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