1日目の終わり(2)

親からの認識は全く変わっていなかった


それは母親だけではなく父親もそうであった。


夕飯を食べている途中で帰ってきて顔を見るならいつもの反応で挨拶が返ってきたため、自分はその事実にかなりホッとした。


今現在は22時を過ぎたころだ。今日やることは終わったため、早急にやるべきことはない。


なので寝てしまおうと思うがそれは少し早い。いつもは23時前に寝るのだが、今日は1時間近くも早く寝てしまう。


寝るのは良いことだが、寝過ぎなのはあまり好きでは無い


なにより、このペースで習慣ができてしまっているため乱すのはいただけない


というわけで何かをしようと思っているわけだが特に思いつかない…思い出すとすれば坂田のことだ。


頭に浮かぶほど鼓動が強くなっていくのを感じるのと同時に眠気らしきものが遠のいていくのを感じる


こりゃいかん、そう思い逸る気持ちを抑え片隅に追い込む。その代わりに突発的に思いついたことを始めた。


それは目標づくりだ。学力、私生活、交友関係の主に3つのことだ。


折角イケメンになったのだ、他の面でもイケメンにしたかなるのが私こと八葉の性だ。


10分もかからない内に内容を思いつき、それを手帳に書き写す。


この手帳は使うと思って買ったが結局使わないで放置のものである


学力  取り敢えずは全力を出して立ち位置を判明させる


私生活 規則正しく過ごす、体鍛えて腹筋割りたい


交友関係 取り敢えずは八方美人で友達を増やしていく


明確な目標もクソもない小学生が考えそうな内容であるがおおまかに決めるにはこれでいいと思う


できれば過程も細分化していきたいがそれは今度でいいだろう


学力は高校に入ったばかりなので立ち位置わからないため現状把握に努めることにした。


私生活は現状維持に近いが味気がないため筋トレを科す、運動は大してしていなかったため腹は太ってはいないものの割とビヨビヨだ。

せめてマッチョまでは行かずとも腹筋くらいは浮上させていきたい。


交友関係は学校生活を送る中で情報を得るためでもある。中学ではそんなものは気にしたこともなかったためそういうこととは無縁な生活をしていた。

そして何より情報屋ポジに少し憧れていたため取り敢えずは情報源の確保に走ることにした。


「うし、こんなものかな?」


書き出しの手帳の1ページ目に辿るべき轍を残し、後のページの埋め方を考える。


日常的に何かをメモする習慣があれば使い道も浮かぶがそもそもそんな習慣があればメモ帳は持て余していない


ふと部屋の天井を一瞬見上げるがなにも思いつかずに視線を横にずらす


うーん、と唸るような独り言が漏れ出す中で一つ考えついた


それはToDoリストの作成である


わざわざ書くこともないだろうと考えたこともあったが、せっかくの機会だ。試すのも悪くないし、メモ帳の使い先もしばらくは決まるのだ


そうと考えたらとりあえずは先ほどのように3つ書き出してみる


しかし、考えるのと同時に急に眠気が襲ってきた。よほど自分の心の中は退屈なのかそれとも疲れからなのか、どちらの判別することは考えずにひたすら眠気の中の微睡む思考の海の中を泳いでいく


やがてそれを3つ書き終え時間を確かめると23時をとっくに過ぎ去り、30分に差し掛かっていた


狭く浅い思考は寝床だけを考えており、体もそれに従って寝床に向かう


やがて体を寝床に預け、意識は半分トンでいたが残りの生きた半分は手元のリモコンで明かりを常夜灯にする


ピッっと明かりが消えていくのと連動するように八葉の意識も消えていった


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