龍神様の靴下

江の島を舞台に、天女と五頭龍の伝説に絡めたお話です。
幼馴染・愛奈の推しであるご当地アイドルの期間限定イベントに誘われた将が遭遇する、ちょっと傍迷惑なトラブルとは？

情景描写が巧みで、まるで江の島を歩いているような気分も味わえます。
ちょっと怖くて、でも読了感は晴れやかな青空のよう！

若い二人の距離感は縮まるのか？
是非、彼らの初々しさを見守ってみてください。

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（344文字）

　湘南にある江の島。そこにつたわる龍神伝説を題材にした短篇です。

　江の島は近くに海岸があったり水族館があったりと、観光地としてのイメージが強いですが、じっさい足を踏み入れてみると、急峻な坂と岩場の神域。古くから水神、龍神、弁天信仰があったことがうかがえます。
　そして、深奥にあるあの洞窟は遠く富士の風穴まで続いているとか。

　そんな観光スポットでもあり、デートスポットでもある江ノ島の、神域というもうひとつの側面をうまく取り込んで描かれた幻想譚。
　怪異と恋が錠前のように堅く結ばれるアオいハルの物語です。