第一楽章が終わった直後のスタンディングオベーション

 クラッシックのコンサートには、組曲の楽章の合間には拍手をしないということが暗黙のルールとなっている。すべての楽章が終わったと時に、演奏者たちに拍手を贈るのだ。

 本作『白玉の昊』は2023年2月現在、序章と破章が公開されており、間もなく急章が公開される予定だという。(三章ごときでは終わらないという噂も……)
 長い長い組曲のような本作で、序章のみを読んで喝采を贈るのは、もしかすると無粋な行為なのかもしれない。楽章の間の静寂もまた、音楽の一部なのだから……。一部だけを見て全体を評価するようなものだから……。

 けれどもあえて、スタンディングオベーションを贈りたいと思う。
 許されるのであれば、「ブラボー!」と叫びたいところだ。

 節々に感じる中華テイストに『ふしぎ遊戯』を思い起こす……なんて言うと、歳がバレてしまうだろうか。
 「参拝に失敗すれば、白い玉様に命と体を獲られる」という設定だけでも、ご飯三倍くらいはイケそうだ。
 矢継ぎ早に明かされる『白い玉様』にまつわる謎、そして逆転する邑の因習。邑内での対立と、外からの力。序章でこれだけ引っ掻き回すのだから、次章以降はどうなってしまうのか……もう、期待しかない。

 きっと長い付き合いになるという予感がある。
 みなさんも、瀛洲の白い玉さまに参拝してみてはいかがだろうか。気楽に詣でても大丈夫。命と体を獲られるようなことはないだろう。(確証はないが)
 ただし、読み始めたら止まらない……。ゆったりとした読書時間、そして飲み物とおやつの準備をお忘れなく。

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